らせん降下
基礎知識
このレッスンでは、バンク角の変化と同様に風速や方向をACSに基づき変化させていくらせん降下操作について紹介します。これは、特に動力無しで行う180度旋回着陸と組み合わせて行う際、楽しい操作になります(最後のページのイメージを参照)。 (緊急着陸時のように)降下しながら地上の任意の点上に機体を維持させるスキルを磨くことは、操縦により自信をつけることに役立ちます。らせん降下とは、一定の滑空旋回のことを指し、その間、地上の任意の点周りの一定半径を保ちながら、円運動のように旋回操作しつつ降下します。 らせん降下は、対気速度の制御、風の滑り制御、プランニング、オリエンテーション、および複数要素へ注意を払うといった操縦士のスキルを改善します。

ルール
- 地上点周りの旋回半径を一定に保つこと
- 約1/4マイル程度
- 最も急角度なバンクが60度を超えないように、半径を設定すること
- 地上点周りを旋回する操作と要領は同じ
- 追い風/向かい風に合わせて合わせて調整すること
- 一定の半径を維持するために、対地速度が減少するにつれバンク角を減らし、反対に速度が速い場合は角度を増やすこと
- 風下に入る
- この時点で対地速度が最も速いため、バンク角も最大となる
- これにより、らせん降下全体で使用する半径を設定できる
- この時点で対地速度が最も速いため、バンク角も最大となる
- らせんは360度旋回を3回繰り返す必要がある
- 十分な高度を得なければならない
- 緊急着陸を併せて行わない限り、1000’AGLを下回る高度での操作は行わないこと
- 機首が風に正対するタイミングでエンジンに出力を加えて定期的にクリアすること
- アイドル状態で長時間動作させると、エンジンの冷却が過剰になったり、点火プラグが汚れたりする場合があるため
- 風に向かってクリアすることで、対地速度と旋回半径の変化が最小限に抑えられる
らせん降下の実施

開始前
- 事前操作チェックリスト
- 操作を行うエリアが他のトラフィックの妨げになっていないことを確認すること
- 自身が飛行中の高度、またはその上下高度
- らせん降下が少なくとも3回の360度旋回を達成するために十分な高度を得る必要がある
- 通常、4,000’AGL以上を選択
- 参考にする任意の地上点を選択
- 小さな地上点が望ましい
- 例:家、サイロ、煙突、チキンハウスなど
- 緊急着陸を行えるような、周囲の人口が少ない地域を設定する
- 小さな地上点が望ましい
- 風下から操作を開始する
- これにより、最も急なバンク角が最初に確立されるため、同様に最も速い対地速度が得られる
- 風下側の1/4マイル以内を通過するように機体を配置する
- 視覚的にその地上点へアプローチするには、自身の左足真下にその点が通過するようにする操作すること
らせん降下への進入
- スロットルを閉じ、推奨される進入速度を設定します
- 操舵をトリムする
- 滑空によるらせん降下を開始し、選択した地上点周りに一定半径の旋回を維持する
- その点を超えると、機体自体が操縦士の視点を遮る
- その点が消えたら、数秒待ち、点を越えて1/4半径程度飛行してから、旋回を開始すると良い
- 旋回を早く開始してしまうと、点上を直接飛び越えてしまい、地上点との適切な位置に戻るため余分な修正が必要になる場合がある
- 進入したら、地上点を翼の根本と機体の間に位置するよう調節する
- よくある間違い:進入または完了時にピッチ、バンク、出力の調整が不適切である
らせん降下中
- 機体と翼の根本に収めた地上点の位置関係を維持し、正しい半径を視覚的にも維持すること
- らせん降下の間、操縦士は異なる高度で風の方向と速度を判断し、一定の半径を維持するためにバンク角を適切に変更し続ける必要がある
- 向かい風から追い風の区間を飛ぶ際には、バンク角を修正すること
- 機体が垂直に下降する際、風向きは通常、変化している場合がある
- 操縦士は、風の変化に応じて、常に入力操作を調整する必要がある
- 風の補正
- 操縦士が風下から操作に入る際は、一定半径を維持するためにバンク角を増やす必要がある
- 対地速度が速いほどバンク角は急になる
- 最初に最も急なバンク角を設定するため、風下から操作に入ることが重要である
- 向かい風に入る場合は、バンク角を減らす必要がある
- 対地速度が遅くなるにつれて、バンク角度は緩やかになる
- また操縦士は、安定した降下速度を保つため、変化するバンク角に合わせてピッチ角度を適切に調整していく必要がある
- 対気速度を一定に保たないと、旋回半径が大きくなり、必要なバンク角度が過度に変化してしまう
- 対地速度が速いほどバンク角は急になる
- よくある間違い:プランニングの誤りと、一定の対気速度と旋回半径維持の失敗
- 対気速度補正
- 点周りを旋回する操作とは別に、操縦士はピッチ姿勢を変えて、らせん降下全体を通して一定の対気速度を維持する必要がある
- バンク角が大きくなるにつれ、機体は対気速度を維持するために機首(ピッチ)下げの姿勢を取る必要がある
- バンクが浅くなるにつれ、対気速度を保つためにピッチ姿勢を上げなければならない
- よくある間違い:統率のとれていない操作入力
- 外の地上点と、内の計器に絶えず気を配り、地上の軌跡、および対気速度と高度を維持すること
- 各旋回で失われる高度をチェックすること
- これにより、最後の360度旋回が確立され、緊急着陸の際に「ダウンウィンド」のパターンに入ることができる
- 各旋回で失われる高度をチェックすること
- 外の地上点と、内の計器に絶えず気を配り、地上の軌跡、および対気速度と高度を維持すること
- よくある間違い:プランニングの誤りと、一定の対気速度と旋回半径維持の失敗
- バンク角度を調節して一定の旋回範囲を維持すること
らせん降下の完了
- 360度旋回が3回完了したら、進入の際に使用した機首方位10度以内の方位で操作を完了させる
- よくある間違い:操作完了までに正しい旋回回数と方位に機体を設定できない
- 必要に応じて、旋回回数をカウントし、進入の際、機首方位計に印をつける
- 完了中は滑らかな操作が欠かせない。また、直線滑空を再開する際に、対気速度が増減しないように、統率のとれた操作を行う必要がある
- よくある間違い:完了時にピッチ、バンク、出力の調整が正しくない
よくある間違い
- 進入または完了時にピッチ、バンク、出力の調整が正しくない
- 機体の操作が統率をもって使用できていない
- プランニングの誤りと、一定の対気速度と旋回半径維持の失敗
- 操作完了までに正しい旋回回数と方位に機体を設定できない
完成基準
訓練生は、らせん降下に関連する要素を理解し、実際の操作を適切に行うことができます。
成功のポイント
本レッスン内の各項目についてレビューすること。
らせん降下は、任意点周りを一定半径で旋回する捜査に、一定の速度降下操作をつけ加えたものです。
- らせん降下の目的と緊急着陸手続きとの関係について
- 進入高度の選択
- 進入速度と出力設定
- 適切な地上点の選択
- 注意と計画の分担について
- 飛行制御の調整について
- 選択した地上点周り一定半径の維持について
- 操縦全般にわたる定速飛行について
参考資料
- FAA-H-8083-3