最近は、10年前の経済と比べ経済状況も良く、パイロットの職探しや、就職率も以前と比べると上昇傾向にあるのだと思います。以前も記載した事がありますが、フライトトレーニングのスポンサーが航空会社で無い場合、飛ぶ事をキャリアにしたい方は、免許取得後、自分で仕事を探さないといけません。そのプロセスの中で多くの方が気付くのが、最初から憧れのジェット機に乗れる仕事なんてあまり無いんだなという事です(特に海外の場合)。まずは、最低飛行経験の要件を満たす事に集中します。段階を得て双発機、双発機タービンに乗れる仕事になりますが、恐らく最初の1000時間から1200時間を稼ぐのに一番苦労するのだと思います。その段階の一つに、事業用操縦士の免許取得後、飛行教員の資格を取るというオプション(あくまでも決められたパスではなく、オプションです)があります。同じ段階の他の仕事と比べると、安全に飛行経験を積む事ができる仕事なのですが、最近は経済状況が良い為か、頻繁に、フライトインストラクターをやらずに、ジェットまで辿り着けるやり方は無いですか?と聞かれる事があります。あります。が、それなりの「毒」が付いて来ると考えています。個人的には、飛行教員の免許を取得し、様々な操縦教育課程の教員経験をする事で、他人の操縦を見て、他人の間違いから自分を救い、他人の間違いから習うというやり方に越した経験の積み方は無いと思いますが、他にある一つの方法としては、スカイダイビングに使用されている飛行機を操縦して、経験を積むというやり方があります。これだとCFIの資格が必要ありません。この場合の仕事探しは、まずスカイダイビングを行う会社が存在する、dropzoneと言われる場所探しから始まります。dropzoneによって使用している機材が異なってきます。場合によっては、双発機タービンのキングエアを利用しているdropzoneも存在するようです。要は、こういった会社に雇ってもらうやり方ですが、考えてみるとスカイダイビングは天気が良い日にしか需要がありません。例えば、飛行教育課程の一部にある、夜間飛行や計器飛行の経験も、スカイダイビングのパイロットをやっていては積む事も難しくなってきます。トータルの飛行時間を増やす為に、最初の数百時間をこういった仕事で積むのは悪くはないと思いますが、最終的には夜間飛行、計器飛行、野外飛行の経験が必要になってきます。スカイダイビングのお客さんを上空まで持っていくパイロットの仕事の最低要件は、事業用操縦士が必要です。また、国によって免許書き換えが必要になってきます。
次に、私のように金銭的な理由で、コミューター(又はリージョナル)へは行けない人、または、私が飛ばしているような、ビジネスジェットのパイロット職をキャリアにしたいという方へはおすすめするやり方です。以前、何万時間ピストン機に乗っても、一般的に飛行時間だけではキャリアの仕事(vs 後が続かない仕事)に就く事が難しい事を説明したと思います。キャリアをスタートさせる為に必要な条件は、資格とある程度の飛行経験、タイミング、人脈、この三つが揃う事だと考えます。この三つに最も迫る事が出来る仕事は何かと考えた結果、私も6ヶ月に一度は行って訓練を受けている、シミューレーター訓練施設でのインストラクターの仕事ではないかと思います。
インストラクターとは言っても、最初から教えるのではなく、最初は飛行機の一部のシステムの教え方を習い、マスターできた所で実際に教室に入って、そのシステムだけを教えます。それができた所で、次のシステムの教え方の勉強をします。また、訓練に来ているパイロットの中には、訓練時期があと1人のパイロットと異なっている為に1人で来るパイロットもいます。ジェット機は2人いないと飛ばせませんので、シミューレーター訓練でも同じです。そこで、副操縦士をさせてもらう仕事があるのです。やっている間に、タイプレーティングを、訓練センターで無料で取らせてもらえ、そこでサポートをした会社のパイロットと知り合いになり、(もちろん、副操縦士役をシミューレーターでしていますので、能力も理解した上で)そのまま実機のパイロット職へのお誘いを受けるという事だって頻繁にあります。
私の場合、訓練中に会う他の企業のGlobal 6000のパイロットと知り合いになる理由としては、彼らの従業員パイロットがお休みの日に、飛行機が飛ばないといけなくなった場合、臨時に代役で飛んでくれる契約パイロットが必要となってくるからです。人を知っておくと、会社が違っても資格が同じなので、自分の仕事が休みの日に、数日間や1週間の契約で、別の会社からお誘いを受ける事があるからです。このような契約の場合、機種にもよりますが、Globalの場合、1日で15万円から20万円、場所や場合によっては1日あたり、25万円から30万円の契約を貰える事だって珍しくは有りません。
上記に挙げたようなシミューレーター訓練施設は、アメリカだけではなく、世界中にキャンパスがあります。最近確認した所、香港や中国の企業は、香港とドバイ訓練施設で訓練しているという情報でした。以外と基本的な資格(双発事業用操縦士と計器飛行証明)さえ持っていれば、応募資格を満たせるこういった施設での良い仕事は、実は求人広告は出ていません。訓練施設の会社に自分自身をアピールし、自己紹介をしなければ、こちらを向いてくれません。実際に雇われた人の例を見ると、自分のカバーレターと履歴書を見直し、根気強く自己紹介を続ける事がポイントだと思います。