気象情報
基礎知識
このレッスンでは、操縦士が気象条件と安全運航に基づいた判断を下せることを目標としています。どのような条件で飛行可能かどうかの判断には、気象情報を充分に理解しておく必要があります。そのためには気象情報サービス、政府機関、および独立した気象観測者といった複雑なシステムを通じて、最新の気象レポートと予測によって、気象パターン、傾向、特性に関する情報を収集、分析しましょう。
気象ブリーフィングの重要性
- § 91.103 – 操縦士は観測気象および気象予報に精通していることを求められる
- 気象ブリーフィングは、安全に運航が行えるかどうか、そして問題が発生する場所と時期を判断するための第1段階目である
- 気象は危険な状況かもしれないが、もし操縦士が「何が予想されるか」を理解していれば、気象予報は操縦士に危険を警告するツールとして使用できる
気象情報源
全天候に対する一般の認識
- TIBS – Transcribed Information Briefing Service:転送型情報ブリーフィングサービス
- 気象·航空情報を記録し継続的に発信し続ける自動応答電話サービスのこと(電話解答:1-800-4TIBS WX)
- 具体的な内容は、エリアとルートの概要、空域の手順、特別な通知について
- TWEB – Transcribed Weather Broadcast:転送型気象ブロードキャスト (Tマークが地図上のNavaid欄右上に記載)
- 選択したNAVAIDs(航空保安無線施設)を通じて連続的に送信される気象レポートサービス
- 経路に沿った情報:経路上の気象予報、おおまかな予報の見通し、上空の風向風速気温、その他の選択された気象情報について
- FSS(Flight Service Station:フライトサービスステーション)から50 nm以内の領域に対して有効
- 12時間有効で1日4回の更新
- FSS(Flight Service Station:フライトサービスステーション)から50 nm以内の領域に対して有効
詳細ブリーフィング (特に飛行に向けたもの )
- FSS (電話番号:1-800-WX BRIEF)
- 主に出発前確認のための気象情報
- NWS – National Weather Service:国内気象サービス
- SWSL – Supplemental Weather Service Location:補助的な気象サービス施設
- FSS/NOTAM(Notice To Airman:航空情報)情報および気象情報の取得, そして飛行計画の提出が可能、また一方で NWS/SWSLは気象情報のみ取得できる
飛行中の気象確認
- HIWAS - Hazardous Inflight Weather Advisory Service:飛行中の危険気象アドバイザリサービス (Tマークが地図上のNavaid欄右上に記載)
- 選択したNavaids上における危険な気象情報のブロードキャストサービス
- AIRMET(Airmen's Meteorological Information)、SIGEMT(Significant Meteorological Information)、Convective SIGEMT、Urgent PIREP
- 選択したNavaids上における危険な気象情報のブロードキャストサービス
- TWEB (上記を参照)
- In-Flight Weather Advisories:飛行中の気象アドバイザリサービス
- 危険な天気予報の詳細を伝える
AIRMET(Airmen's Meteorological Information 、WA)
- 特定の予報エリアに対して、必要であれば、6時間ごとに中間更新される
- 情報は全ての航空機に対して向けたものだが、気象情報については軽航空機に対して危険なものが発信されている
3種類のAIRMETS
- SIERRA: IFR情報および山岳地帯が雲などによりどれほど隠れているかの情報が発信される
- TANGO: 乱気流、強い地表風および低度のウィンドシアについての情報が発信される
- ZULU: 着氷および氷点下についての情報が発信される
SIGMET (Significant Meteorological Information、WS)
- 全ての航空機に危険を及ぼす可能性のある非対流気象に関する運航アドバイザリー
- 雷雨と関連のない、アイシング/極端な乱気流/透明色の乱気流(CAT:Clear Air Turbulence)、ならびに視程3 sm 未満の影響を及ぼすダスト/砂嵐と火山灰についての情報
- これら不定期予報は4時間有効(ハリケーンSIGMETは6時間有効)
Convective SIGMET (WST)
- 各運航の安全性に影響を与える甚大な対流気象に対して発行された気象勧告
- 対象
- 以下を伴う激しい雷雨
- 50 knotsを超える地表風
- 表面の直径1/3 inch 以上の氷(ひょう)
- 竜巻
- 見えにくいタイプの雷雨
- 雷雨によるライン
- 3,000平方` 以上の面積の40%以上に影響を及ぼす、大雨またはそれ以上の降水量を伴う雷雨
- 以下を伴う激しい雷雨
PIREPS(Pilot's Reports:操縦士報告)
- 操縦士が飛行中に遭遇した気象に関する報告書のこと
- 飛行中の機体は雲の頂上、着氷、乱気流を観測できる唯一の方法である
気象災害の報告
- 危険災害は航空天気図、報告書等の適切な解釈により見分けることができる
- Area Forecasts, WST, WS, WA, Significant Weather Prognostic charts
- LLWAS, PIREPS, Convective Outlook, METARs…など
Go / No の判断
- 使用する航空機及び装備に関して、気象要因を考慮する必要がある
- そもそも飛行機が安全に運航できるか?
No-Go の判断になりうる気象条件
- 見えにくいタイプの雷雨
- すばやく移動している前線、スコールライン
- 中程度以上の乱気流
- アイシング
- 霧やその他視覚的な見えにくさ
肉体的/精神的な状態
- 病気、疲れ、怒り、落ち込み - これら要因による影響はおおきく様々な問題を引き起こす可能性がある
- IMSAFE チェックリストで自己診断をすること
直近飛行経験
- 自分の能力や航空機の能力を超えるような飛行をしてはいけない
- 例:もし現在暫く飛んでいなかったとして、MVFR(Marginal VFR)条件下の飛行に自信はあるか?
- 飛行は、飛行全体を通して継続的な意思決定を行うプロセスである
- 必要に応じて、経路変更または飛行中止を選択すること
完成基準
- 操縦士が目前の情報に基づいて、状況を咀嚼し、Go/No Goを判断を下すことができる。
成功のポイント
- 安全な飛行は、飛行に影響を及ぼす気象要因は何であるのかを確実に理解できるように、徹底したブリーフィングを行うことから始まります。様々な情報源をもとに気象情報を集め、分析し、判断を下せるように常日頃から練習を心がけましょう。
参考資料
- AC 00-6
- AC 00-45
- FAA-H-8083-25
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