旋回
基礎知識
このレッスンでは、計器飛行における標準率旋回の操作に関する要素を紹介します。標準率旋回とは、1秒あたり3度の割合で旋回することを指します。この旋回は、計器飛行におけるすべての旋回操作の基本であり、すべての航空機に対して適用できる安全な標準旋回率を提供します。
True Airspeed & Angle of Bank(真対気速度&バンク角度)
- 旋回率はTAS(True Airspeed:真対気速度)とバンク角度によって異なる
- 任意の対気速度での旋回率は、旋回を引き起こす横方向への力の量に依存する
- つまり、揚力の水平方向成分のこと
- これは、バンク角度に合わせて直接変化する
- 所定の対気速度における旋回速度はバンク角が増すことで増加し、それにより旋回半径が減少する
- つまり、揚力の水平方向成分のこと
- 対気速度を上げると、旋回速度が遅くなり、旋回半径が大きくなる
- また、対気速度の低下とバンク角度の増加は、速い旋回速度と小さい旋回半径になる
- 任意の対気速度での旋回率は、旋回を引き起こす横方向への力の量に依存する
- Standard Rate Turn (標準率旋回) のバンク角度を見積もり、TASを10で割り、そこで得た値に5を加算する
- 例:110ノットでの標準率旋回 = 11 + 5、または16度
- 標準率旋回は約3度/秒
Constant Rate Turn(定率旋回)の進入&復行
進入
- AI(Attitude Indicator:姿勢指示器)を使用して、標準率旋回になると予想されるバンク角度を設定する
- AIはロールインする際、主にバンク角度確認のために使用される
- TC(Turn Coordinator:旋回釣合計)は標準率旋回を示し、このバンク角度を旋回復行まで維持する
- TCは旋回中に、主にバンク角度を確認するために使用される
TCが標準率旋回を示す場合のバンクを記録する
- ALT(Altimeter:高度計)は旋回中に高度変更を意図されていないため、主にピッチ確認のために使用される
バンクコントロール
- 上記のTAS(真対気速度)とバンク角度について参照
ピッチコントロール
- 揚力の垂直方向の成分が損失するため、機首(ピッチ)は下がりやすく、機首上げのエレベータ操作が必要である
- ロールイン、ロールアウト、ターン中にピッチ対応の計器をスキャンする
- AI:意図したピッチを保持していることを確認する
- VSI (Vertical Speed Indicator:昇降計):計器自体が持つ偏差による増幅するピッチの動きに注意する
- ALT:ピッチの姿勢が希望の高度を維持するように注意する
- ロールイン、ロールアウト、ターン中にピッチ対応の計器をスキャンする
パワーコントロール
- AOA(迎角)の増加は誘導抗力の増加を引き起こすため、対気速度は水平旋回中に失われる傾向がある
- 速度を維持するには、追加のエンジン出力が必要である
- 計器をクロスチェックして、ピッチとバンクと同様に飛行速度を維持しているかどうかを確認すること
復行
- 目的の機首方位で旋回を停止するにはロールアウトのタイミング(目標の何度手前から開始するか)をバンク角度の約1/2程度に設定して行う
- ロールアウトに均衡のとれたエルロンとラダーの操作を行うこと
- 復行を開始すると、AIが主なバンク確認の計器になる
- ほぼ水平飛行の場合、方位計は主なバンク確認の計器になる
半標準率旋回
- TCを使用して半標準率旋回を維持する以外は、バンク角度を半分にした状態で標準率旋回と同じように操作を実行する
均衡のとれたコントロール&トリム
- 旋回中は、ボールが旋回釣合計のガラスケース中央に留まっており、必要に応じて修正を行うこと
- 入力操作を行い操縦桿にかかる圧力が確立されたら、必要に応じてトリム調整すること
完成基準
操縦士は、標準率旋回とは何か、この旋回に必要なバンク角度の近似方法、および進入と復行操作方法を理解しています。
よくある間違い
- ロールインおよびロールアウト中の不正確なバンクコントロール
- 必要に応じて、スムーズで正確な修正を行えない
- 統制の取れていない操作入力
- 不適切なトリム方法
成功のポイント
以下についてレビューすること
- 真対気速度、バンク角度そして標準率旋回との関係について
- 標準定率旋回の進入と復行に対して、全計器表示と部分計器表示のそれぞれ用いる技術と手順について(半標準率旋回の性能を含む)
- コントロールとトリムの調整について
参考資料
- FAA-H-8083-9
- FAA-H-8083-15
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