直進水平飛行

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ACS/PTS・オペレーション分野 FAA 計器飛行証明ー飛行機
基礎計器飛行
該当する資格 計器飛行証明, CFII

基礎知識

このレッスンでは、計器のみに基づいた直線飛行と水平飛行について説明します。これら計器に基づく飛行が全ての計器飛行における基本となります。

Pitch, Bank & Power(ピッチ、バンク & パワー)

Pitch(ピッチ)

  • Pitch Attitude (ピッチ姿勢) :飛行機の縦軸と実際の水平線との間の角度で測られる
  • ピッチ情報を読み取ることができる計器は、AI(Attitude Indicator:姿勢指示器) 、ALT(Altimeter:高度計)VSI(Vertical Speed Indicator:昇降計)及び ASI(Air Speed Indicator:対気速度計)である

 

  • AI
    • ピッチ姿勢を直接示す
      • 地平線に対して機首(ノーズ)を上下させる調整には、エレベーターを使用する
        • これは、有視界飛行中のピッチ姿勢の調整方法(水平線に対する関係)に対応する
          • AIが水平飛行を表示していても、ALT、VSI、および/またはASIの表示においては水平飛行ではない場合がある
          • 対気速度は一定でなければならない(一定の対気速度においては、水平飛行に対してひとつのピッチ姿勢しかない)
  • 地上で適切に調整ができたなら、TC(Turn Coordinator:旋回釣合計)内の小型模型飛行機は、通常巡航で水平飛行を示す
    • 関連計器を参照に行うピッチ調整は、有視界飛行の場合よりもはるかに小さく行う
      • 操縦桿へ穏やかに圧を加えてスムーズなピッチ変化を行うこと

 

  • ALT (Altimeter:高度計)
    • 水平飛行において、主にピッチを確認する計器となる
    • 一定のパワーでは、水平飛行からの偏差はピッチ変化によって起きる。従って、高度計は水平飛行時のピッチ姿勢の間接的な情報を与える
      • 高度は水平飛行で一定に保たれるので、目的の高度からの偏差はピッチ変更の必要性を示す
        • 目的とする高度を得るには機首を下げるか、反対に機首を上げる
    • AIを用いずに水平飛行を維持する際、高度計の針が動く量は、その方向と同様に重要である
      • ピッチの偏りが大きければ高度は急激に変化し、逆もまた然り

 

  • 修正
    • 操縦桿に対してわずかに圧を加えて入力操作をするのは 
      • 針の動きを止めるための姿勢変化、そして
      • 目的の高度に戻るための姿勢変化を行うためである
    • 針の動きが高度の偏差を示す場合は、動きを遅くするために十分な圧力を操縦桿に加えること
      • 動きが急に遅くなった場合は、その圧力を緩和し、遅く保てる
      • 針が動かなくなったら、水平飛行だと読み取れる
    • ピッチの姿勢を調整して、目的の高度に戻る
      • 「標準的な」ピッチ修正には、エレベーターを用いること

 

  • 大まかな規則:
    • 100’未満のエラー(偏差)の場合は 、その半分値を用いて修正を行う
    • 100’を超えるエラーの場合は 、最初に示した値を用いて修正を行う

 

  • VSI (Vertical Speed Indicator:昇降計)
    • ピッチ姿勢の傾向、変化量を間接的に表示する計器
      • 傾向の計器:ピッチ変化の反映と考えられる飛行機の垂直運動の初動を直ちに表示する
        • 水平飛行を維持するには、AIと高度計の均衡を取りつつ調整してVSIを主に使用すること 針の傾向に注意し、操縦桿へ軽く補正圧力を加える
        • 針がゼロに戻ったら、補正圧力を緩める
    • ラグ特性
    • ラグ :ピッチ変化後に針が安定した表示をするまでに発生する遅延のこと
      • もし遅い場合は、スムーズなピッチの変更により、そのラグを最小限に抑えることができる
      • もし大きく、急激な変化による不規則な針の揺らぎがはじまった場合、実際の状態と表示が反転する可能性がある
      • 乱流状態においては絶対に針を追ってはいけない!
    • ALTとAIの均衡を取りつつ水平飛行を維持するには: 
      • ALTの針が目的高度から移動した量が、戻るために必要な高度になる
      • 垂直方向の速度がエラーの約2倍分にするような姿勢を変更する
      • その必要高度が100’の場合、補正は約200 fpmになる
        • 予想した200 fpmよりもさらに大きな値が表示された場合は、コントロールが過剰であると読み取れる

 

  • ASI (Airspeed Indicator:対気速度計)
    • ピッチ姿勢を間接的に表示する計器である
    • 一定のパワー設定/ピッチの姿勢では、対気速度は一定に保たれる
    • ピッチ姿勢が低くなるにつれて対気速度が増す、また反対に機首が上がれば、減速する
    • 速度の急激な変化はピッチ姿勢の大きな変化を示し、その逆も同様である

Bank(バンク)

  • 飛行機の横軸と地平線間の角度
    • まっすぐに保つには、飛行機の翼を水平線と共に維持する必要がある
    • 調整は、エルロンとラダーを均衡を取りつつ使用して行う
  • バンクコントロールに使用する計器は、AI、HI(Heading Indicator:機首方位計)、TCである

 

  • AI 
    • バンク姿勢の直接的な情報の表示を行う
      • 翼を水平に維持する
  • HI(主なバンク表示計器) 
    • バンクにより旋回ならびに機首方位に変化が生じるため、HIは間接的なバンク姿勢の情報を表示する計器である
      • 機首方位計のカードが回転する速度から、飛行機のバンク量を読み取ることができる
      • 機首方位計で直進飛行からの偏差が見つかった場合、
        • 旋回動作に進入しない程度のバンク角で、目的の機首方位に修正をかける
          • その際標準率旋回を超えないこと
  • TC 
    • 飛行機のバンク姿勢の情報を間接的に表示する
      • 小型模型機が水平な場合、飛行機は直進飛行中であると読み取れる
    • クロスチェック含め、目的とする姿勢から外れた僅かな偏差も修正すること
    • ボール - 旋回のを示す
      • ボールの位置が計器内ガラス管中央から外れると、飛行機は横滑り状態になり、小型模型飛行機はバンク姿勢中の偏差を表示する
    • 修正 
      • ボールが中央から外れている場合は、必要なだけ舵に圧力をかけて中央に戻す
      • 同時に翼を水平にして、HIとAIをクロスチェックする

Power(パワー)

  • エンジン出力(パワー)の変化は、飛行機の対気速度や高度を変化させる
    • 任意の対気速度では、パワーレベルによって、飛行機の上昇、下降、または水平姿勢になるかが決まる
      • パワーを増やし、対気速度を一定に保つと上昇し、その逆では下降する
      • 一方で、高度を一定に保つと、加えられるパワーが対気速度を決定する
  • 高度と対気速度の関係が、ピッチやパワーの調整量を決定する
    • 対気速度が目的の値に達しない場合は、出力を変更する前にALTをチェックする
      • 高度と対気速度は互換性がある
        • 機首を下げて対気速度を増したり、機首を上げて対気速度を減らしたりすることで高度を変えることができる
        • 高度が高く、対気速度が低い場合、ピッチの変更だけで目的の高度/対気速度にが戻る場合がある
        • 対気速度と出力の両方が高いか低い場合は、ピッチとパワーの両方を必要分だけ調整すること
  • エンジン出力を変更する場合は、高度/針路を維持するために、ピッチ、バンク、パワーの均衡を取りつつ調整する必要がある
    • パワーを増やすと、ピッチに関連する計器が上昇を示す。エレベータを前方に倒す入力操作が必要である
    • 補正圧力を加えないと飛行機はヨーの動きを示し、左に滑る傾向がある
      • これらの変更を適切に行うには、クロスチェックの速度を上げる必要がある

Full Panel & Partial Panel(全計器 & 部分計器表示)

Full Panel

  • 姿勢指示器を使用して、水平飛行を確立し、必要な計器類とクロスチェックを行うこと
    • Pitch:AI(主要計器)、VSI、ASI、AIを使用する
    • Bank:HI(主要計器)、TC、AIを使用する
    • Power:ASI(主要計器)、吸気圧力、タコメーターを使用する
  • クロスチェックを設定し、計器に表示された分の修正を加える

Partial Panel

  • 通常、ALTは主にピッチ情報を得るための計器なので、部分計器表示の場合においても、水平飛行を維持するために必要な情報を得ることができる
    • しかし、瞬間的なピッチの変化を示すことができないため、AIを使用しないと、直進水平飛行を行うことが難しい
      • VSIとASIは水平飛行の維持に役立つ
      • さらに操作を行う際は、操縦桿には緩やかな圧力を加え、主な計器の結果を辛抱強く待つことが重要である
  • 機首方位計がない場合は、MC (Magnetic Compass:方位磁針) とTCを使用して機首方位を維持する必要がある
    • その場合は、TC内の小型模型飛行機をできる限り水平に保つこと
    • 調整する前に、MC自体が揺れ動かずに安定する時間を設けること
      • 方位磁針がどうしても揺れ続けている場合は、値の平均をとって、Standard Rate Turn内で修正すること

トリムテクニック

  • 操縦桿に圧力を加えて、目的の姿勢を確立する
  • 次に、操縦桿から手を離した際に、航空機がその姿勢を維持するようトリムを調整する
  • 姿勢、パワー、構成の変更には、ほとんどの場合、トリム調整が必要である

完成基準

操縦士は計器に基づいてのみ、直進飛行と水平飛行を維持できます。

よくある間違い

  • 直進飛行と水平飛行におけるクロスチェックが遅いか不適切である
  • エンジン出力の不適切な制御
  • 必要に応じて、スムーズで正確な修正を行えない
  • 統制の取れていない操作
  • トリムコントロールが正しくない

成功のポイント

以下についてレビューすること

  1. 直進飛行におけるピッチ、バンク、パワーの関係について
  2. 全計器表示と部分計器表示を使用した手順について
  3. コントロールとトリムの調整について

参考資料

  • FAA-H-8083-9
  • FAA-H-8083-15
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