急旋回
基礎知識
このレッスンではIMC(Instrument Meteorological Condition:計器気象状況)条件下での急旋回に関する要素を紹介します。IMC条件下では通常標準旋回の操作作られますが、それが急旋回となる場合があります。その際はバンク角が必要です。毎秒3度以上の急な旋回を行う技量を持つことが重要です。これにより、飛行機の性能や制御に関する理解を深めると共に、より急なバンク角で飛行機を制御するために必要な操作入力について学ぶことができます。
全般
- 計器飛行においては、標準を超えるいかなる旋回は急旋回となる
- 航空機の制御に及ぼす空力の影響は、急旋回の姿勢が進むごとに著しく変化する
- これら変化の量に応じて、クロスチェック、解釈、制御のスキルがますます必要になっている
- 進入、維持、復行の方法は、通常の浅い旋回と原則的に同じである
Full Panel & Partial Panel(全計器表示&部分計器表示)による進入&復行
進入
- 浅い旋回と同じように入力操作をするが、旋回が急になるに従って素早く計器をクロスチェックする準備をする
- バンク角度の管理(主計器はAI、Attitude Indicator:姿勢指示器 - 特定のバンク角度を維持する)
- 姿勢指示器に表示されたバンク角度を維持する(45度)
ピッチコントロール(主要計器はALT、Altimeter:高度計)
- 直ちに読み取りかつ修正しない限り、垂直方向の揚力の損失により、ALT、VSI(Vertical Speed Indicator:昇降計)およびASI(Air Speed Indicator:対気速度計)のはやい動きを引き起こす
- バンク角度の変化がはやいほど、揚力の変化が急に起こる
- もしピッチを調整せずにオーバーバンクを行うと、補正としてより強い機首の引き起こし操作を要求される
- 機首上げせずより急な旋回を行うことで、垂直揚力の減少/翼負荷の増加が発生する
- オーババンキングは、機首の引き起こし操作にもかかわらず、高度計/昇降計の急激な下降表示と対気速度の増加によって認められる
- 急降下スパイラルにおいて
- 復行するには、エルロンとラダーの均衡をとりつつ直ちに浅いバンク角度の操作入力を行う
- エレベーターの入力操作を少し抑えるか、または緩める
- もし対気速度が急激に増加していれば、エンジン出力を緩める
- 急降下スパイラルにおいて
エンジン出力(主要計器はASI)
- 一定の対気速度を維持するために必要なエンジン出力は、バンク角度と抗力が増すにつれて増加する
- 対気速度を維持するためエンジン出力を増やす
Partial Panel(部分計器表示)
- ASIはエンジン出力の主要計器
- ALTはピッチの主要計器
- MC (Magnetic Compass:方位磁針) は時間旋回に使用される
- VSIは上昇および下降について表示するが、計器自体にはいくらかのラグが発生する
復行
- エンジンの出力制御はバンク角度の制御と合わせて調整する必要がある
- エレベータによる引き起こしの入力操作とエンジン出力を減らす必要がある
- 目的の方位直前に、それまでの約1/2のバンク角度でロールアウトを開始する
クロスチェック
- バンク角度をAIで確認する、高度計をスキャンしてピッチを変更し、HI(Heading Indicator:機首方位計)をスキャンしてロールアウトの時間を設定する
- スキャン速度は素早く行い、偏差は即座に修正する必要がある
調整
- 旋回中は、エルロンとラダーの均衡を取りつつ調整を続ける
完成基準
- 操縦士は、高度と速度を旋回中に維持し、開始時の針路に復行するために適切な調整を行いながら、急旋回を完了できます。
よくある間違い
- ピッチ、バンク、またはエンジン出力の誤差を認識し、正しく修正できない
- 姿勢指示器の水平線歳差を補正できない
- 各操作に均衡の取れた調整ができない
- 不適切なトリム設定
成功のポイント
以下の項目をレビューすること
- 急旋回の開始と復行操作のために、全計器表示と部分計器表示を使用する手順について
- 適切な機器のクロスチェックの必要性について
- ロールイン/ロールアウトの手順について
- 制御とトリムの調整について
参考資料
- FAA-H-8083-9
- FAA-H-8083-15
コメント欄を読み込み中