進入復行
基礎情報
このレッスンでは操縦士が、Missed Approach Procedure(進入復行手順)を読み込み理解した上で実際の飛行に使用できることを目標とし、各要素と項目を紹介します。着陸不能の場合には、航空機を障害物や他の航空機から安全な位置緩解を保つための、進入復行の手順が設定、発行されました。進入復行は、最低条件以下の天候、滑走路上にいる別の航空機、不安定なアプローチなど、様々な理由で必要になります。進入復行は、状況を再確認し、他の安全な選択肢を提供する手段です(アプローチへの再進入、または代替空港への目的地変更など)
全般
- MA(Missed Approach:進入復行)の手順は、操縦士が障害物との安全距離を保ちながら通常航路に戻るために発行されたもの
- その際操縦士への負荷が高いため、進入を開始する前に、その手順を理解し、なるべく覚えておく必要がある
IAP(Instrument Approach Procedure)に関する関連情報
- 各進入チャートは、それぞれの進入復行の手順と条件を定義する
- このアプローチは、テキスト形式とグラフィック形式で発行されている
- 説明などの文章は「MISSED APCH」ボックスに表示される
- 進入図は破線で示され、通常はfix(ポイント)を基準に則る
- 説明などの文章は「MISSED APCH」ボックスに表示される
- このアプローチは、テキスト形式とグラフィック形式で発行されている
- アプローチを開始する前に、必ず(一瞬でも)確認し、進入復行の手順を理解すること
MAが必要な条件
- 91.175:以下の状況が認められない限り、MDA以下またはDA以下の高度まで航行しないこと:
- 航空機は、通常の着陸操作で、目的の滑走路上への降下を通常速度で行える位置にいること
- 飛行中の視程は、使用する標準計器進入で規定されている視程以上であること
- 目的の滑走路に関する以下項目の少なくとも1つが、操縦士に対して明確に視認可能な状態であること
- Approach Light System (進入灯システム)
- 赤い終端バーまたは両側面のバーも表示され、識別可能な状態でない限り、着陸帯からの高度100’以下に降下することはできない
- The Threshold(進入帯)
- The Threshold Marking(進入帯マーカー)
- The Threshold Lights(進入帯灯)
- The REIL
- The VASI
- The Touchdown Zone or Touchdown Zone Markings(接地帯マーキング)
- The Touchdown Zone Lights(接地帯灯)
- The Runway or Runway Markings(滑走路または滑走路マーキング)
- The Runway Lights(航空灯火)
- Approach Light System (進入灯システム)
- 不安定なアプローチになってしまった場合は、進入復行を行い再アプローチを要求する
- DA(Decision Altitude)、DH(Decision Height)、またはMDA(Minimum Descent Altitude)以下の降下中、必要な視程が失われた場合、または滑走路が見えなくなった場合、進入復行を実行する必要がある
- ただし航空機の通常のバンクによる旋回の結果でない限り
- また、何らかの理由で着陸が拒否された場合も、進入復行を行うことが必要である
MAの開始
- MAP (Missed Approach Point:進入復行地点)の認識について
- MAPは、さまざまな方法で指定されている
- 非精度進入では 、FAFからの時間を伴う固定距離として与えられる
- これは対地速度(Ground Speed)に基づいている
- 表は、FAFからMAPまでの距離と、特定のGSの時間を示している
- 多くの非精度アプローチでは、特定のFix(ポイント )をMAPとして指定する
- これらは、コースとDME、VORからの放射状、またはRNAVウェイポイントで識別できる
- 精度進入のMAPはDAに到着した時点と同じである
- これは対地速度(Ground Speed)に基づいている
- 非精度進入では 、FAFからの時間を伴う固定距離として与えられる
- MAPは、さまざまな方法で指定されている
- 上記のいかなる理由に対しても、MAPに到達した場合、進入復行を開始すること
- 直ちにフルパワーの出力、ポジティブな上昇率を確認すること
- 飛行機が上昇し始めてからフラップを格納し始めること
- 対気速度を一定に保つこと
ATC(Air Traffic Control:航空交通管制)への報告要求
- ATCに対し、進入復行を実行していることを通知する
- ATCの要請による進入復行でない限り、その復行理由を通知に含める
- ホールディングへの進入
- 時間と高度
公示されたMA手順への準拠
- 進入復行のコース/手順に従うこと
- ただしATCが他の指示を出さない限り
- MAPに到達する前 に、進入復行を実行する場合は、IAPからMAPの横軸方面のナビゲーションパスに則り飛行すること
- 障害物との安全距離が保証されないため、早めに旋回を開始しないこと
- 進入復行の手順に従って、特定の行動に対するクリアランスを要求すること
- つまり、別のアプローチ、状況改善のためのホールディング、別の代替案を選択するなど
クリアランス、指示、勾配、制限に準拠できない場合の報告
- 安全上の観点から、クリアランスが完全に理解されていない場合、または許容できないと見なされた場合は、必要に応じて、明確化または修正を要求すること
- 誤った内容だと思われる際は、割り当てられた方位または高度を問うこと
- ATCからの許可等に応じられない場合は、状況を知らせ、別の許可等を求めること
- 200 Feet/NM以上の上昇勾配が、進入復行の間に必要である
推奨されるチェックリスト項目
- 出力
- 最大出力を充てること
- 高度
- 上昇高度へ設定すること
- 機体状態
- 各部上昇設定であること
- フラップを上げる、もしくは離陸時の設定であること
- 積極的な操作入力が重要
- 着陸復行の際と同様に、進入復行は特にIFR条件下では危険な操縦になりかねない
- 安全を確保するために積極的な操作を維持すること
- 離陸失速を避けること!
- 安全のため指定された進入復行の手順を維持すること
- 障害物/コース周囲にある障害物に成り得るものの回避
完成基準
- 操縦士は、進入復行の手順を理解し、実際にそれに則り機体を支援なしで飛ばすことができる
よくある間違い
- 計器進入路図に関する情報に対して基本的な知識を有していない
- 進入復行が必要な条件を認識できない
- 進入復行を迅速に開始できない
- ATCに必要な報告を行えない
- 進入復行手順に従わない
- 基本的な計器飛行技術の不足
- 進入復行を開始する前に機体高度がMDAを下回る
成功のポイント
以下の項目を確認する
- 選択した計器進入路図に関する情報について
- 進入復行が必要な条件について
- 進入復行の開始について、直ちに出力を上げ、上昇姿勢を入力し、抗力の減少を行う
- ATCへの報告必須について
- 発行されたまたは別の進入復行手順への準拠について
- 航空機がクリアランス、指示、制限又は上昇勾配に則り飛行できない場合のATCへの通知について
- 着陸復行に適した推奨チェックリストを使用することの重要性について
- 機体への積極的かつ丁寧な操作入力の重要性について
参考資料
- 14 CFR PART 91
- FAA-H-8083-9
- FAA-H-8083-15
- AIM
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