通信障害
基礎知識
このレッスンでは、計器飛行中に何らかの原因で通信の受信送信が不可能になる機能障害が発生した場合の対処について紹介します。もし通信断絶の状態に陥った機体に対しては、法律により規則が定められており、それらによりATC(Air Traffic Control:航空交通管制)は当該機の経路と高度を把握し、他のトラフィックを迂回分離させ安全を確保することができる。
概要
- §91.185より
- 操縦士は、7600にセットしたトランスポンダにより、ATCに対して、自機が無線通信障害の状況であることを通報できる
通信断絶状況の認識
- もし無線通信機が不自然に静かである場合は、機器が使用可能かどうかを確認する
- ATCに問い合わせて、通信の問題か、単に静かなだけかを確認する
- これを“通信機能の障害である”とすぐに想定しないこと
- ボリュームを確認する、最小音量に設定されないか?
- 周波数は正しいものがセットされているか?
- もしATCではなく他の人の声が聞こえる場合は、彼らを経由してATCにその旨を伝えること
- 無線範囲外の場合は、周波数の変更が必要な場合がある
- 他の通信機器で動作を確認する
- 通信機器が適切にセットアップされているかどうかを確認する
- ATCを受信することはできるが、こちらから送信できない場合もある
- この場合も、引き続きATCの指示を受信することはできる
- そのため応答は、Identボタン(応答)を使用して行う
どのような場合に飛行を続行、または中断するべきか
- 通信障害に関する規制の主な目的は、空域内他のトラフィックに甚大な影響を及ぼすであろう、通信できないまま行われるATCによるIFRの拡大運用を防ぐためにある
- IFRクリアランスに基づく運航中に無線障害が発生した場合、VFR条件では以下のように対応する:
- VFR条件下で飛行を継続し、可能な限り 速やかに着陸する
- これは、“直ちに着陸する”ということを意味するわけではない
- VFR条件下で飛行を継続し、可能な限り 速やかに着陸する
- IFR条件が満たされる場合、操縦士は91.185(c)で定められた手続に必ず従わなければならない
- これにより、航空機を他のトラフィックから切り離して運航することが確実に行える
14 CFR – §91.185
経路 (AVEF) – 重要な順に:
- 最後に受信したATCクリアランスでアサインされた経路(ASSIGNED)経路を飛行する
- レーダ誘導(VECTORED)の場合は、無線障害の点から誘導クリアランスで直接指定された点、経路、または航路を飛行する
- ATCが指定した、さらなるクリアランスによる予定経路(EXPECTED)を飛行する
- 航空計画として提出した経路(FILED)を飛行する
高度 (MEA) – 以下の中から経路に対して最も高い高度を飛行すること:
- IFR運航の最低高度(MINIMUM)を飛行する
- ATCが指定した予定高度(EXPECTED)を飛行する
- 最後に受信したATCクリアランスでアサインされた高度(ASSIGNED)を飛行する
アプローチ開始タイミングの決断
クリアランス制限を離れる場合について
- クリアランス制限が、アプローチの開始点となるポイントの場合:
- もしその制限を受信した場合は、EFC(Expect Further Clearance)時間にできる限り近いタイミングで降下を開始する
- もしその制限を受信していない場合は、提出した飛行計画に基づくETA(Estimated Time of Arrival)にできる限り近いタイミングで行う
- クリアランス制限が、アプローチの開始点となるポイントではない場合:
- もしその制限を受信した場合は、そのままEFCのタイミングでは、離脱する
- もしその制限を受信していない場合は、クリアランス制限に到着後そのまま離脱し、提出した飛行計画に基づくETAにできる限り近いタイミングでアプローチを開始し、降下を開始する
完成基準
- 操縦士は、計器飛行計画に基づいた飛行中、通信途絶の状況に陥っても安全かつ正確に対応できる
成功のポイント
- 以下の項目を確認すること
- 通信断絶の認識発見について
- 提出した飛行計画を継続、又は変更する判断について
- 目的地でアプローチを開始する時間を決定する方法について
参考資料
- 14 CFR PART 91
- FAA-H-8083-9
- FAA-H-8083-15
- AIM
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