航法システムおよびDMEアークのインターセプト・トラッキング
基礎知識
このレッスンでは、VOR(Very High Frequency Omnidirectional Range:超短波全方向式無線標識)の使い方、およびそのトラッキングと受信に関する詳細を説明します。VORは、IFRシステムにおけるナビゲーションとアプローチに用いられる装置です。VORsは連邦航路システムの根幹を成し、ほとんど全ての飛行で使用されます。航路以上に、多くの空港は付近または同エリアのVORに基づくアプローチを使用しています。操縦士はVORの操作と使用に関する基本的な事項を理解しましょう。
VORの使用
Identifying(識別)
- 局の識別は、モールスコードか、または局名とVOR名を示す音声を確認することで行える
- VORが使用できない場合は、コード識別が削除され、上記の内容は送信されない
- ナビゲーションに使用してはならない
- VOR受信機には、局からの信号強度が不十分な場合、それを示すアラームフラグ (Unreliable Signal Flag)が取り付けられている
- 機体の位置が局から遠すぎるか、高度が低すぎるか、送信信号の有効範囲から外れている
- VORが使用できない場合は、コード識別が削除され、上記の内容は送信されない
VOR無線ナビゲーションに必要な2つの構成要素
- (1) 地上送信機と (2) 受信機
- 送信機は地上の特定の位置にあり、指定された周波数で電波を送信する
- 受信機は航空機側の、チューニング装置とVOR装置を兼ね備えた機器
- ナビゲーション装置は、次のもので構成される:図:ナビゲーション機器
- コースセレクタと呼ばれるOBS (Omnibearing Selector) ツマミ
- CDI (Course Deviation Indicator) 針
- TO/FROM インディケーター
- コースセレクタは方位角ダイヤル(OBS)で、局に対して機体の位置が磁方位に基づくラジアルを選択したり、特定できる
- また、同様に機体の位置が局に対してTOまたはFROMのどちらなのかを特定することができる
- OBSを回して調節すると、CDIは飛行機に対してラジアルの方向を示して移動する
- 中央の同一線上に揃う場合、CDIはラジアル(磁方位で局からFROM)/そのレシプロカル(反方位針路、磁方位で局に至るTO)を表示する
- CDIは、飛行機が選択したラジアルから離れている場合は、右または左に移動する
- ナビゲーション装置は、次のもので構成される:図:ナビゲーション機器
TO & FROM
- 針を中心にして、局に対する機体の位置がFROMまたはTOどちらのコースにあるのか示す
- もしフラグにTOと表示されている場合は、コースセレクタ上のコースに沿って必ず局に向かって飛んでいる
- もしFROMが表示され、そのコース上を飛び続けると、飛行機は局から離れていく
VORトラッキング
- VOR周波数を調整し、識別を拾い、目的のVORが受信されていることを確認する
- OBSを回転してCDIを中央に配置し、「TO」を表示する
- 「FROM」の指示が中央に表示されている場合は、OBSにて180°CDIを回転させる
- 「FROM」の表示は、機体が局からどの方位に位置するかを示し、「TO」の表示は、局はどの方位に位置するのかを示す
- 「FROM」の指示が中央に表示されている場合は、OBSにて180°CDIを回転させる
- VOR方位角ダイヤルまたはコースセレクタに示された方位に針路をとる
- 無風時であれば直接局へ針路をとる
- 横風が吹いている場合、針路を維持し続けると、機体は実際のコースから外れてしまう
- 例えば横風が右から来た場合は、飛行機は左へ流されてしまう
- そのためCDIは徐々に右へ移動します
- 目的のコースに戻すには、機首方位を右に変更する必要がある
- 飛行機がもとのコース戻ると、針はふたたび中心に戻る
- 例えば横風が右から来た場合は、飛行機は左へ流されてしまう
- 中央位置に戻った飛行機は、今度は右からの横風に対し、修正をかけて飛行する必要がある
- これにより風補正が確立さる(必要な量は風の強さに依存)
- 試行錯誤により、目的のコースを維持するために必要な針路が設定される
- これにより風補正が確立さる(必要な量は風の強さに依存)
- VOR局に到着し、通過すると、「TO」表示は「FROM」表示に切り替わる
- 一般に、「TO」と同じ手順で「FROM」をトラッキングする
- 同じ針路で飛行する場合は、コースセレクタを変更しないこと
- 別のコースで「FROM」を追跡する場合は、新しいコースをセレクタに設定する必要がある
- 一般に、「TO」と同じ手順で「FROM」をトラッキングする
- このコースに進入し、前述と同様にトラッキングする
リバースセンシング(逆信号)
- FROM表示のVORを用いてTOの方位へ飛行する場合、CDIは反対の方向を示す
- もし飛行機が右へ横滑りすると、針は右に動くか、またはその方位から遠ざかる方向に向く
- また、その逆も同様である(TO表示のVORを用いてFROMの方位へ飛行する場合)
- もし飛行機が右へ横滑りすると、針は右に動くか、またはその方位から遠ざかる方向に向く
VORのヒント
- モールスコードまたは音声IDにより、局を積極的に識別すること
- VOR信号には有効範囲があること
- TO表示で局へ誘導をする場合は、局に向かうラジアルを確認して使用すること(修正には計器上のラジアルで調節するのではなく、機体操作でドリフトを修正)
- 局に近づく“TO”の飛行である場合は、選択した飛行コースを常にTO表示にして飛行すること
- 局から離れる“FROM”の飛行である場合は、選択した飛行コースは常にFROM表示にして飛行すること
選択したコースへの進入&維持
- どこにいるのか?自機が局に対してどの位置にいるのか?
- どこに行きたいのか?コースはどの方位にあるのか、TOとFROMのどちらなのか。
- どうやって行くのか?飛行中の針路と進入先のコースの、方位角の差を2倍にした値を用いて、飛びたい方位に適用する
- 意味があるのか?選んだ針路が飛びたいコースへ続くのか?
DMEアーク(弧)への進入&維持
- アプローチで指定された方位にて進入する
- 必要なDME(Distance Measurement Equipment:距離測定装置)の距離に達するまで、その方位を飛行
- DMEの距離に達する前に、約1/2マイル手前ほどで右へ90度旋回する
- さらに、OBSを回転させCDI針をこれから飛行する方向に対して先んじて10度の位置を示すように調整する
- 針が中心に戻ったら、ふたたび10度回転させ、3秒間スタンダードレートターン旋回を行う
- さらにもう一度針が中心に戻ったら、滑走路に向かうインバウンドコースへの針路、その約10度前まで上記と同じ操作を繰り返す
- DMEの距離が遠いか、近すぎる場合は、必要に応じて旋回時間により調整して距離を保つようにする
完成基準
- 操縦士はVORを理解し、ナビゲーションやアプローチの手順に使用できる能力を身に着ける
よくある間違い
- チューニングと識別の手順が正しくない
- 進入するコースのナビゲーションセレクタを正しく設定できていない
- DMEアークへの進入とトラッキングを適切な手順で行えない
- DMEアークからアプローチコースまたはローカライザへの進入を適切な手順で行えない
成功のポイント
以下の項目を確認すること
- ナビゲーション施設への調整と識別について
- ナビゲーションセレクタで選択したコースの設定について
- 施設に対する航空機の位置を決定する方法について
- 選択したコースに進入し、維持する手順について
- DMEアークの進入と維持の手順について
- DMEアークからコース又はローカライザに進入する手順について
- ナビゲーション施設またはウェイポイント通過の認識判別について
- ナビゲーション受信機または施設による障害の認識判別について
参考資料
- FAA-H-8083-9
- FAA-H-8083-15
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