野外飛行の計画

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ACS/PTS・オペレーション分野 FAA 計器飛行証明ー飛行機
飛行前・プリフライト準備
該当する資格 計器飛行証明
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基礎知識

IFR条件下において、飛行計画は必要不可欠です。このレッスンでは、操縦士がIFRによる野外飛行計画を一人で安全に行えるよう、重要なポイントをいくつか交えて紹介します。飛行計画に「このくらいで良いだろう」という終わりはありません。計画に必要な情報と規則は、VFRを行う際よりもやや単純なものになります。

規則要件

IFR 飛行前準備1.jpg

  • § 91.103 - 飛行前準備について
  • 特にIFR(Instrument Flight Rules:計器飛行)に係るもの:  
    • 気象観測情報と気象予報
    • 燃料要件
    • 代替案(万が一計画が完遂できない場合に備えて)
    • 機長がATC(Air Traffic Control:航空交通管制)からアドバイスを受けたトラフィックの遅延情報
      • いかなる飛行に対しても……滑走路長、離陸距離、着陸距離等の情報は必要

§ 91.167 - 燃料要求について

  • 以下運航を行うために充分な燃料を必ず搭載すること:
    • 一番初めに着陸予定の空港までの飛行分
    • その空港から代替空港までの飛行分(必要な場合)
    • 通常の巡航速度でその空港からさらに45分間飛行できる分

出発

  • § 91.173 - ATCクリアランス&飛行計画の要件について
    • IFR下の制御空域では、次の条件を満たさない限り、運航不可
      • IFR飛行計画の申請
      • 適切なATCクリアランスの受取
  • § 91.175 - IFR下での離陸&着陸について
    • 第91条ではゼロ/ゼロテイクオフは合法
      • 公式に発行された離陸最低条件、または最低アプローチ条件(もし離陸条件が無い場合)をガイドラインとして使用することを推奨

経路

  • §91.135 – クラスA空域での運航について
    • ATCクリアランスを伴うIFRに基づいた運航を行う必要がある
      • AIM - クラスB空域
        • IFR運航には、正しく動作するVORまたはTACAN受信機が必要である
  • § 91.177 - IFR運航に対する最低高度について
    • 離陸と着陸の場合を除き、以下の運航は不可
      • 第95条及び第97条に規定する適用可能な最低高度
        • ただし、最低限が規定されていない場合は、次の手順に従うこと
          • 山岳地帯:飛行経路中心から左右4 nm以内に存在する最も高い障害物から2,000’以上の高度
          • 非山岳地帯:飛行経路中心から左右4nm以内に存在する最も高い障害物から1,000’以上の高度
          • MEA(Minimum En route Altitude:最低安全高度)とMOCA(Minimum Obstacle Clearance Altitude:最低障害物回避高度)が発行された際:VOR(VHF Omni-directional Radio range:超短波全方向式無線標識施設)の22 NM範囲内の場合は、MEA以下かつMOCA以上の高度で運航可能
            • 最低高度が適用されるポイントを越えた直後、ただちにより高い最低IFR高度へ上昇すること
            • 地上障害物が存在する場合を除き、上記のポイントにおける高度ははMCA(Minimum Crossing Altitude:最低通過高度)と同等、またはそれより高い高度であること
  • § 91.179 - IFR巡航高度または飛行高度について
    • Controlled Airspace (管制空域):ATCによって割り当てられた飛行高度を維持
      • ”VFR on top”が許可された場合は、§ 91.159に基づいて高度を維持
    • Uncontrolled Airspace (非管制空域):18,000’MSL以下、かつ
      • 磁方位0°~179°:奇数千’MSLの高度
      • 磁方位180°~359°:偶数千’MSLの高度
  • § 91.181 - 飛行経路について
    • 必須事項:
      • ATS(Air Traffic Services:航空交通サービス)経路上にあり、その中心線に沿っている
      • その他NAVAIDSまたは指定されたポイント間を直線で結んだ経路に沿っている
        • 他航空機や他飛行経路を回避するための操縦は禁止されていない
  • § 91.183 - IFRコミュニケーションについて
    • 次の事項については、可及的速やかに必ず報告する必要がある
      • 各指定報告地点またはATCが希望する地点を通過する際の、時間/高度
        • レーダー管制中の場合を除き:ATCが特に求めた事項を報告する
      • 予想外の気象状況が発生した場合
      • 飛行の安全に関するその他の情報
  • 制限空域
    • 非有効の場合:ATCは、IFRトラフィックを特定のクリアランスを発行することなく同空域を通過させる
    • 友好の場合:ATCは空域を避けるクリアランスを発行する
      • 制限区域に立ち入る許可を持たない場合に限る
  • MOA(Military Operation Area:軍用空域)
    • IFRトラフィックは,ATCにより他のIFR飛行中の機体と分けて誘導される場合には通過することができる。それ以外の場合、ATCは迂回路に誘導するか空域への進入を制限する

到着予定時刻と燃料要求の計算

IFRの航法ログに記載する航路

  • DPs(Departure Procedure:出発手順)
  • Preferred IFR航路, Tower En Route Control (TEC), 航路および (RNAV, GPSの) 直接航路
  • STARs(Standard Terminal Arrivals:標準到着経路)、IAPs (Instrument Arrival Procedures:計器進入方式)および IAFs(Initial Approach Fix)に示されたポイント
  • 各レグにおけるナビゲーションポイント/ウェイポイントのリスト
  • 磁方位のコースと距離(各レグと合計)
    • 基準となる飛行高度またはフライトレベル
      • 最低計器飛行高度 (91.177)
      • 機体の性能/装備(POH/FM参照)
      • 気象要因
        • 上空の風向風速および気温情報
        • 気温、氷点、氷結、雲高
        • 乱気流
      • 飛行時間
      • 酸素の利用
    • 目標高度におけるエンジンの出力設定 (MP, RPM)  & 予想真大気速度 (TAS) & 燃費 (Gal per Hour)
      • TASと風向風速データを使用して、対地速度、ETE(Estimated Time of En route:各レグのETEを目的地まで合計した時間)、および燃料要件(航法ログに記録)を決定する
      • POH(Pilot Operating Handbook:運航マニュアル)セクション5を使用して、上昇に係る時間、燃料、距離の計算を行う
        • その際、エンジン始動、タクシー、離陸時それぞれの予想消費燃料を計算に含める
      • 巡航高度に達してから最初の着陸予定地まで、飛行に必要な時間と消費燃料を加える
        • このときETEは、離陸時間から加算され、最初の着陸予定地においてETAとなる
          • もしEFC(Expect Further Clearance:予定クリアランス時刻)が無い場合、ETAとは通信機不具合が発生した際の手順に則りアプローチを開始する時間になる(91.185)
      • 代替空港が必要な場合(91.167)、最初の着陸予定地から代替空港へ飛行時間/燃料を見積もる
      • §91.167に基づき、通常巡航速度で45分間飛行可能な分の追加燃料が、最低燃料要求となる

現在の有効なエンルートチャート、DP、STAR、および標準計器アプローチチャートの選択/解釈

正しい/最新のエンルートチャートとTPP

  • チャートやブックレットの表紙に記載の有効期限日を確認すること
  • オンラインの場合、チャート最新版の日付(28日および56日の有効期間)を確認すること
  • 現在から施行までの間のいかなる変更を確認すること
    • 航空図のオンライン速報または現在のチャートサプリメントに記載有
    • NOTAMs(Notice To Airman:航空情報)
    • NACO (National Aeronautical Charting Office)チャートユーザーガイド(チャートシンボル確認のため)
    • 推奨:VFRチャートの使用も引き続き有効

NOTAMS情報

  • 臨時航空速報、または不定期掲載の航空情報は、NOTAMシステムを通じて、速やかにチャートまたはその他出版物により発行される
  • NOTAM情報は操縦士のGo/No Goの判断に影響を与え得る

5種類の NOTAMsについて

  • NOTAM (D) 広く普及している
    • NASの一部、公共用の空港、海上基地、ヘリポートといったナビゲーション施設がすべて、チャートサプリメントに掲載されている
    • Weather Message Switching Center(WMSC)(ジョージア州アトランタ)にてデータは保管されている
    • Service Aの情報通信システムを介して自動的に配信される
  • FDC NOTAMs
    • 規制情報(チャートやIAPの変更、空域、TFRなど)
      • National Flight Data Center (NFDC)、ワシントン、DCによる発行
  • Pointer NOTAMs
    • FSSが発行し、FDCやNOTAM(D)といった、別のNOTAMをハイライト等で示す
  • SAA NOTAMs
    • 特別活動空域(MOA等)が公表時間外に活動する場合に発行される
  • Military NOTAMs
    • NASの一部である米空軍、陸軍、海軍、海上NAVAIDS/飛行場に関する情報

準備 / IFR飛行計画の提出

IFR条件下で管制空域に入る前に、IFR飛行計画を提出し、ATCから許可を受ける(91.173) AIM 5-1-8では、IFRの飛行計画に必要な情報を確認できる 機器のサフィックスを判別するため、GPSはRNAVと見なす モードCのトランスポンダと、エンルートおよび端末機能を持つGPS = / G

IFRクロスカントリーでの制御シーケンス (管制塔を伴う場合)

  • AFSS (Autonomous Flight Safety System) - 出発/着陸/代替空港に対する気象ブリーフィングおよび飛行計画の提出
  • ATIS (Automatic Terminal Information Service) - プリフライトが完了し、現在の空港状況と使用中のアプローチ/滑走路の情報を取得
  • Clearance Delivery - 出発クリアランスの取得
  • Ground Control - IFRであることに留意し、クリアランス/タクシーの指示を受け取る
  • Tower - 離陸前の確認が完了し、離陸クリアランスを受け取る
  • Departure Control - 出発担当者に繋ぎ、レーダーコンタクトの返信を受ける
  • ARTCC (Air Route Traffic Control Centers) - 出発管制の領域から外れると、当センターは飛行がエンルート上になるよう調整する
  • EFAS/HIAS (Enroute Flight Advisory Service/Hazardous Inflight Weather Advisory Service) - ATCと連携して飛行中の天気情報を取得する
  • ATIS (Automatic Terminal Information Service) - ATCと連携し、目的地の空港における気象情報を取得する
  • Approach Control - センターは、追加情報/クリアランスを到着担当者に引き継ぐ
  • Tower - 到着担当者から管制塔に引き継がれ、着陸と飛行計画のキャンセルに許可が下りる

完成の基準

  • 操縦士は、出発地と目的地それぞれの空港に係るすべての情報、およびエンルート上の気象情報を収集し、使用機材の性能と法規に照らし合わせた上で安全に基づく飛行計画を立てることができる。

成功のポイント

  • 以下の項目をレビューすること
    • 各空域内における計器飛行の規制要件
    • IFR飛行計画のルート中の時間と燃料要件の合計計算
    • 現在有効なエンルートチャート、RNAV、DP、STAR、およびIAPの使用
    • 該当するNOTAM情報の入手と分析
    • 提案された飛行の条件を正確に反映した計画を作成
    • 航空機に装備されているGPSおよびRAIMの機能を確認
    • 着氷による翼の汚れを確認
    • 着陸フェーズにおける着氷の影響と是正措置:離陸前、離陸後、および巡航中それぞれにおいての確認
    • 着氷の除去手順や製造元が公表した、航空機固有の情報

参考資料

  • 14 CFR PART 91
  • FAA-H-8083-15
  • AIM
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