飛行指導のテクニック
基礎知識
このレッスンでは、飛行訓練における指導のさまざまな技術に関連する要素を紹介します。戦略を持った飛行教官は、教育の充実、飛行訓練の実証/実行方法、統合的な飛行指導、飛行制御の効果的な交代、あえて訓練中の妨害、飛行訓練中に遭遇する学習への障害、訓練生の評価方法、ADMを参照します。飛行教官は航空システムの重要な部分であり、安全な飛行を促す基準や慣行を適切に伝えなければなりません。
学習への障壁
不平等な扱いへの感覚
- 指導が不十分だと思っている訓練生や、自分の努力が良心的に考慮され評価されていないと思っている訓練生は、良い学習をしない
- 挑戦的な目標の割り当ては、訓練生の意欲を高め、学習を促す
より興味深い運航を行うための焦り、いらつき
- せっかちな訓練生は訓練の必要性を理解せず、最終目標を望むだけである
- しかし、そのタスク全体を完璧にこなすためには、基礎を修得しなければならない
- このせっかちからくる無関心は、適切なドリルであっても、その不要な繰り返しによって起こる
- 心配ごとを抱えていたり関心が欠如している
- 不安や感情を害した訓練生は、学ぶ準備が出来なくなってしまう
- 外部の影響によるストレスが教室内に持ち込まれる可能性がある
- 身体的不快感、病気、疲労、脱水
- 明らかに学ぶことが難しくなるだろう
- 急性または慢性の疲労
- 準備不足の教育によって引き起こされる無関心
- 訓練生はちゃんと教える心構えで訓練に臨み、その費用に大金を使う
- そのため、対する教官が準備を怠っている場合とてもフラストレーションとなる
- 不安
- 訓練生は、教官と飛行機に乗り込む際、快適かつ自信に満ちていなければならない
- 健康的かつ清潔な雰囲気は学習にとても役立つ
デモンストレーション-パフォーマンス-トレーニングデリバリー
説明の段階
- 教官は、訓練の目標、修了基準、および詳細なプリフライト・ブリーフィングについて話し合う必要がある
- 訓練生は、何を、どのように学ぶかを知る必要がある
- 訓練の進め方と評価方法
- 訓練生に質問を促す
- デモ(演習)段階
- スキル実行に必要なアクションをまず教官が示す
- 訓練生は、何を、どのように学ぶかを知る必要がある
訓練生による実施、ならびに教官による監督
- 訓練生はスキルを実践し、その評価から学習する
- 教官はその一連の動きを監督し、時に助言を行うこと
評価の段階
- 教官は訓練生のパフォーマンスを評価し、進捗について助言を行う
有効的な操縦の交代
インシデント統計が示す「有効的な操縦の交代」の重要性
- コックピット内の各人が、誰が機体の操縦桿を握っているのかを明確に理解している必要がある
操縦を交代する際、3通りの交代方法を用いること
- “You have the flight controls”「あなたの操縦です(操縦権を手渡す)」
- “I have the flight controls”「私の操縦です(受け取る)」
- “You have the flight controls”「あなたの操縦です(手渡し完了の確認)」
不必要な言動のないコックピット
- この思想は飛行中クリティカルな場面で不必要な言動(無駄口をたたくなど)を控えようというものである
- クリティカルな場面とは、タキシング中、離着陸ならびに巡行を除くその他10,000フィート以下での運航を指す
あえて訓練を妨害するテクニックの利用について
- ほとんどの場合、操縦士は飛行に気を取られるうちに、スピン/失速事故が発生する
- コックピット内で不必要な言動を控えることが重要だ
- FAAは、訓練生が気を散らす恐れのあるシナリオを、教官にシミュレーションするよう勧めている
- それは訓練生の気をそらす方法論だ
- 訓練生は、何か気をそらすものがある状況下でも、乗客やDPE(試験官)などに対して責任を持って話し合うことができなければならない
統合的な飛行指導について
- 訓練生徒は有視界・計器飛行両方の基準によって操作を行うよう教えられる
- 習慣となるパターンの開発
- 初回において正しく教え、目的とする行動を強化
- なによりもまず安全が第一の懸念だ
- 最初から、計器や機外の参照ポイントを定めて監視する学生は、この習慣を身に付ける
- これにより、着陸状況の改善、クロスカントリーにおけるナビゲーションの改善、統合的な制御の改善、あと一般的に操縦士の技量向上が実現する
効果的な運航
- 習得した飛行技術が上達するにつれ、航空機が発揮できるパフォーマンスも向上する
- 上昇パフォーマンス、機首方位、高度の制御がより効率的になる
- 統合的な飛行指導(計器や有視界参照)は、訓練生がMVFRやIFRの条件に対応できることを意味するとは限らない
手順
- 入力したコントロールと、視覚と計器の参照に関する説明
- 詳細に、制御圧力と制御動作など、必要に応じて特定の用語を使用する
目視&回避
- 障害を目視して回避するのは常に操縦士の責任だ
- 訓練生のやるに任せたまま頼りにしないで、教官は安全を先に教えるように
- 演習を行う前にクリアリングターン(安全確認)すること
- ルールを理解し、従うこと
操縦能力の評価
- 訓練生が進歩を最新の状態に保つことが重要
- パフォーマンスを向上させるための方向性とガイダンスを提供すること
文書による記録/および飛行&操縦訓練毎の評価を補完すること
- これにより、訓練生は、何が良いのか、または改善が必要なのかを把握でき、時間の経過と共に進歩を見ることができる
- 実証された能力
- 訓練生の能力はパフォーマンス基準に基づくべきだ
- ACS/PTS、シラバスなど
- 飛行後の評価
- 訓練生を最新の進捗状況に合わせる
- 文書による記録を保持する
- 自己評価と教官化からの評価は有益
- 訓練生に何を学んだか尋ね、飛行の自己評価を行う
- 不十分な分野に対して助言などの情報を提供し、それを前向きかつ正直に伝える
- 訓練生が受け入れられる場合は、他の訓練生(同様の訓練段階で)が、飛行後の評価を聞いて、失敗や成功から学ぶことを許す
訓練生のミスを訂正する
- ミスに対してすぐにコントロール権を奪い取らないこと
- 危険でない限り、訓練生にやらせておくこと
操縦士への監視
- 訓練生の単独飛行を承認する前に、必要な操作をすべて一貫して行い確認すること
普通の挑戦として取り扱う
- 訓練生は、自分たちに課された課題に対処できなければならない
- 彼らが有能で自信を持ち、現場での課題に取り組めることを確認する
- 地上で問題を扱えない訓練生は、空中でも取り扱うことができない
- 視覚化
- 訓練生が通常飛行の状態で視覚化し、予期せぬイベントを追加して、その処理方法を確認する
- 地上にいる間に、訓練生に空中で起きうる状況を提示し、安全に地面に戻ってから話し合う(最初に何が悪いのか、何が問題だと分かるか、聞こえるか、感じるかを話し、何が原因の問題なのか、どう対処すべきかを把握させる)
- 例:急旋回中で、コックピットに警告が出る場合と訓練生に伝える
着陸練習
- フルストップの着陸(タッチアンドゴーではなく)
- これは訓練生に手順とチェックリストの使用について教えることができる
本試験への承認サイン
- AC 61-65
- 教官であるあなたの仕事はあなたの訓練生が準備完了か否かを確認することにある!
Aeronautical Decision Making (ADM):航空安全判断
- 特定の状況に応じて、常に最適な行動方針を決定するために操縦士が使用する精神的な過程に対する体系的アプローチ
- 全航空事故の約80%は人間の要因によるものと推定される
- 操縦士に正しい判断を教えることが事故を未然に防ぐ鍵である
意思決定のプロセス
- 問題の定義
- 変更により、予期された結果が発生しなかったことを認識/定義する
- 問題を正しく定義しないと、より悪い問題が発生する可能性がある
- 変更により、予期された結果が発生しなかったことを認識/定義する
- 対応方針の選択
- 対応の必要性を評価し、可能な時間内に問題を解決できるアクションを特定する
- 意思決定の実施と結果の評価
- 決定が飛行に与える影響を引き続き評価する
- 次によく似ている。前述の条件が許す限り、航空機の制御を維持し、状況を分析し、適切な行動を取り、着陸を行う
Affecting Decision Makingに係る要因
- 危険な態度を認識すること
- 訓練生の危険な態度を見つけ出し、それを取り除ける必要がある
- ストレス管理
- ある程度のストレスは正常であり/良い
- ただしあまりに多過ぎるとひどく悪くなる
- ある程度のストレスは正常であり/良い
- パフォーマンスに影響を与える3種類のストレス
- 物理的
- 生理的
- 心理的
リソースの使用
- 利用可能なすべてのリソースを使用し、その場で考え直す
- 内部リソース
- 飛行中にフライトデッキで発見されたもの
- 計器、システム、チャート、書籍等
- また、創意工夫、知識、技能によるもの
- その他の乗客
- 外部リソース
- ATC及び航空業務の専門家
- トラフィックアドバイザリ、ベクトル、気象情報、緊急支援
- ATC及び航空業務の専門家
- ワークロード管理
- 過負荷を防ぐための計画、優先順位付け付け
- 高負荷の状況に備えて訓練生に準備を促す
- そんな状況に陥るまで待たないこと
- つまり、アプローチを開始する前に準備するなど
- 高いワークロードを認識可能か
- より早いペースでの作業と、細心の注意を払うこと
- 高いワークロードを防ぐためにできる限り事前に行動し、後で重要なタスクを管理する
完成基準
本レッスンの各項目についてレビューし、適宜質問をすること
教官訓練生は、このレッスンで説明したトピックの範囲を説明し、教えることができます。
成功のポイント
- 飛行中における学習の障壁について
- デモ・パフォーマンス・トレーニングの実施について
- 有効なコントロールの交代について
- 不必要な言動のないコックピットについて
- あえて訓練を妨害するテクニックの利用について
- 統合的な飛行指導について
- 操縦能力の評価について
- ADMについて
参考資料
- FAA-H-8083-9
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