人間の行動と効果的なコミュニケーション
基礎知識
このレッスンでは、人間の行動と効果的なコミュニケーションに関する要素を紹介します。人間の基本的なニーズ、防衛機構、効果的なコミュニケーション…学習は経験による行動の変化です。教官は、何故、訓練生が自身のやり方で行動するのかを理解する必要があります。
人間行動の定義
- 人間の行動の研究は、人間の機能の仕組みと理由を説明するための試みである
- 「生来の人間性」と「個人の経験」と「環境」の組み合わせ
- 行動に関する実践的な知識は、教官が生徒をよりよく理解するのに役立つ
科学世界
- 人々が予測して行動するその要因
- 例:人々が恐怖にどう対処するかは、個々の経験によるものである
- 演説
満足のいくニーズ
- 人間の行動は、特定のニーズを満たそうとする試みの結果である
- シンプルなニーズ:食べ物、水が欲しい
- 複雑なニーズ:尊重し許容する考えや気持ちからくる行動は、すべての男女が共有する
人間の生活
- 人々は加齢とともに行動が変わる
- 個々の壮年層は、その行動は依存関係から自立方向に移り変わる
- したがって、学生の年齢はカリキュラムのデザインに影響を与える
人格のタイプ
- MBTI(Myers Briggs Type Indicator:マイヤーズブリッグスタイプインジケーター)
- 人間の行動のランダムな変化は、個人の知覚や判断方法の違いによって、非常に構造化されている
- 今や、将来のキャリアを見つけるのに役立てられている
教官と訓練生の関係
- 教官は、教え方を理解し、できる限り訓練生に合わせる必要がある
- 訓練生の学習に合わせてシナリオを調整する
人間の行動の制御
- 訓練生は、有効なコントロール手段として権威に服従する傾向がある
- 教官の課題は、既存の状況に最適なコントロールを知ることにある
- 訓練生が自分の目標に向かって自身を助けることを可能にし、励ます雰囲気を作り出すこと
- 各訓練生の潜在能力をどのように実現するかを見つけ出すのは、教官の責任だ
- 確固たる、健全で生産的な関係を築く方法は、訓練生をひとりの人間として認識し、常に満たそうとするニーズ、意欲、欲求に関する教官の知識に依存する
人間の欲求&動機
Herarchy of Human Needs (人間の欲求ヒエラルキー)
- 人間の欲求を重要な順にまとめる
- 欲求が満たされるまでは、学習や自己表現、その他の任務に完全に集中することはできない
- 欲求が満たされれば、モチベーションは得られなくなる
- 欲求が満たされるまでは、学習や自己表現、その他の任務に完全に集中することはできない
Physiclogical (生理的欲求)
- 生物学的ニーズ:食べ物、休息、脅威からの保護
Security (セキュリティ)
- 危険や脅し、剥奪に対する保護は、訓練生の行動に影響を及ぼす
Belonging (所属)
- 友情と愛を与え受ける、コミュニティに属し、友情を与える
- 訓練生は通常の環境から外れるのが普通なので、この必要性はより顕著になる
- 新しい訓練生が安心し、航空世界を追求する決意が強まる
Esteem (評価)
- 必要なタイプは、次の2つ:
- 自己評価に関して:自信,独立,達成,能力,知識
- 評判に関して:仲間の地位、認識、評価、尊重
- これが学生が航空に興味を持つ主な理由かもしれない
Cognitive & Aesthetic (認知と美意識)
- 認識機能:知り理解する必要がある
- 美的感覚:感情的要求
Self-Actualization (自己実現)
- 他のすべてのニーズが満たされる場合に限り、自己実現が可能となる
- 「生まれながらの」物事と、成り行きに応える必要がある
- 継続的な開発/個人の目標や潜在能力の実現
- 訓練生が、彼らの方法で健康な学習環境を作り出すことを支援
防衛機構
不快な状況に対する潜在意識、ほとんど自動的でエゴを守る反応
- 失敗の感情と、罪の意識を和らげ、個人の価値を守るために使われる
- Denial (拒否)
- 現実を受け入れるのを拒否してしまうのは、それが脅迫的過ぎるからだ
- Compensation (補償)
- 訓練生は、より肯定的なものを強調して、弱いクオリティの存在を隠そうとする
- 好ましいがより達成し難い目標の代わりに、好ましくないがより達成しやすい目標を受け入れ、開発する可能性がある
- 訓練生は、より肯定的なものを強調して、弱いクオリティの存在を隠そうとする
- Projection (投影)
- 自分の欠点、過ち、他人に転嫁して非難する
- 動機、欲望、特徴、衝動は、他人に帰する
- Rationalization (合理化)
- 訓練生が自分の行動の真の理由を受け入れられない場合、合理化するかもしれない
- こうすることで、彼らは言い訳をすることができ、自分でも納得できる
- 訓練生が自分の行動の真の理由を受け入れられない場合、合理化するかもしれない
- 真の合理化が行われると、個人は心から言い訳を信じる
- Reaction Formation (反動生成)
- 時に人々は危険な欲望を抑え込むのではなく、正反対の意識的な態度や行動パターンを生み出すことで、自らを守ることもある
- Fantasy (幻想)
- 何かをするよりも、物事がどうあるべきかの白昼夢見る
- Displacement (変位)
- 感情、欲望、影響が、元の目的や考えから、より脅威の少ない代替物へと無意識に移行すること
訓練生の感情反応
- Anxiety (不安) – 「恐怖から生じる精神的不安…」
- 飛行訓練に影響を与える最も重要な心理的要因
- 空を飛ぶ楽しみを増やし、恐怖に打ち勝つよう教えれば、不安を克服することができる
- 恐れを普通の反応として扱い、無視してはいけない
- 訓練生が何を期待すべきか、何を反応すべきかを知るために、演習(デモンストレーション)を慎重に紹介する
- ストレスに対する正常な反応
- 経験と訓練の範囲内で迅速かつ正確に対応する
- これが望ましいのは、ストレスが過剰かつ異常な反応を引き起こさずに済むから
- ストレスに対する異常な反応
- 応答が完全に欠けているか、少なくとも不十分な場合がある
- 応答はランダムまたは非論理的、あるいは状況によって求められる以上のことを行うかもしれない
- 応答が完全に欠けているか、少なくとも不十分な場合がある
- 異常な反応:
- 極端な協調、勤勉な自制心、不適切な笑い声、歌声、感情の非常に急速な変化など、不適切な反応
- 各レッスンの気分転換(士気・深い憂鬱)
- 教官・サービス・スタッフ等に対する激しい怒り
- 重度の異常行動をとる訓練生に対して飛行教官がとるべき行動
- 訓練生の評価を控え、トレーニングを続行しない、または評価を行わないことを保証する
- これは次の方法で行う
- 他の教官(学生に詳しくない)が評価飛行を行う手配をする
- FSDOとの非公式な議論を始めるべきである(非公式なことは重要、不必要にFSDOに生徒を監視させないように)
- AME(指定検査医)とのディスカッションが必要である
基本的なコミュニケーションの要素
- 自動的に行われるものではない。コミュニケーションとは、こちらから訓練生に情報を伝えることに他ならない
基本要素
- コミュニケーションは、アイデアや感情を他の人に伝える際に行われる
- 有効性は、伝えたアイデアと受け取られたアイデアがどれくらい同じ内容かによって測られる
- 受け取った側は、その理解に応じて反応し、それに応じて動作を変更する
- 行動の変化が、コミュニケーションの目的である
コミュニケーションの3つの要素:
- ソース(送信者、話者、送信機、教官)
- コミュニケーターとしての有効性は、3つの基本的な要因に関連している
- 適切な言葉を選んで使用する能力は、意味のある記号を伝達する上で不可欠である
- コミュニケーションの効果は、使われる言葉へ理解に依存する
- 基本的に、使用する言葉は学ぶ上で重要である
- 訓練生、アイデアの伝達に対して姿勢を明らかにする
- 基本的に前向きな態度を取ること!
- 教材は正確で最新のもので刺激的
- 古い情報が原因で、教え方が悪くなり、信頼性が失われる
- 要するに、教官が明確かつ専門的に話し、また訓練生が理解できる言葉を使い、積極的に自分が教えている情報を知ること
- 適切な言葉を選んで使用する能力は、意味のある記号を伝達する上で不可欠である
- コミュニケーターとしての有効性は、3つの基本的な要因に関連している
- 記号(単語、記号、または単純な口頭および視覚に依るもの)
- はじまりと/おわりに最適な記号と、説明、明確化、強調に最適な記号を決める
- 次に、伝送するために最適なメディア(聴覚、視覚、触覚)を決める
- 訓練生からのフィードバックを、記号の変更が必要な場合があるので、明確にするためにモニターする
- 訓練生は自分のやり方に関するフィードバックが必要である(マイナスのフィードバックは自主練時のみ)
- はじまりと/おわりに最適な記号と、説明、明確化、強調に最適な記号を決める
- 受信者(リスナー、読者、または学生)
- 効果的なコミュニケーション:訓練生は理解と行動の変化に応じて反応する
- 行動を変えるには、訓練生の能力、態度、経験を理解する必要がある
- 訓練生はさまざまな能力を持ち、教官は彼らのレベルに合わせて指導を行うこと
- 年齢、性別、文化的背景、教育などが行動に影響を与える可能性がある
- 多様なコミュニケーションアプローチが、ほとんどの訓練生に最も成功する
- すべての訓練生が同じ方法で学ぶわけではなく、複数のアプローチを使用する方が最も効果的である
- 経験、背景、能力は、教官のアプローチの決定に役立つ
- 多様なコミュニケーションアプローチが、ほとんどの訓練生に最も成功する
効果的なコミュニケーションの障壁
- 経験不足
- 効果的なコミュニケーションに対する最大にして唯一の障壁
- コミュニケータつまり話す側の言葉は、言葉が示す対象や概念に関する経験がない限り、他の人に望み通りの意味を伝えることはできない
- 教官は訓練生と同じ言葉を選んで話すことが不可欠である
- 特定の用語が必要な場合は、訓練生に用語を理解してもらう
- 記号と記号化されたオブジェクトの混同
- これの結果は、単語が何を表すのかを混同されてしまう場合である
- 関連付けがクリアになっていることを確認すること
- コミュニケーションを効果的に行うには、訓練生の理解が、教官の理解と一致していなければならない
- これの結果は、単語が何を表すのかを混同されてしまう場合である
- 抽象概念の過剰使用(抽象概念とは、特定の概念ではなく一般的な単語)
- 抽象化は、訓練生の心の中で、意図された経験を呼び起こすものではない
- ほとんどの場合、抽象化を回避すべき
- 抽象化は、訓練生の心の中で、意図された経験を呼び起こすものではない
- 干渉
- 生理的な干渉は、理解を妨げる可能性のある物理的な問題です
- 難聴、けが、身体の病気など
- 環境干渉は、外部の物理的な状態(ノイズなど)によって引き起こされる
- 心理的な干渉は、生徒や教師の気持ちの結果である
- もし恐怖や不信が存在してしまう場合、コミュニケーションは損なわれる
- 生理的な干渉は、理解を妨げる可能性のある物理的な問題です
コミュニケーション能力の開発
- ロールプレイ
- コミュニケーションの技術などを身に付ける練習
- 教育的コミュニケーション
- 対象のトピックをよく知っている
- 過去の経験を例に使ってポイントを示すことを恐れないように
- ある種の評価によって理解度を決定する
- 理解度を測るために質問する
- リスニング
- 訓練生と親しくなる一つの方法は、聞き上手になることだ
- 訓練生も聞きたがる必要がある
- 訓練生に聞き方を教えることで、情報の伝達能力が向上する
- 操縦士は、聞く準備が整っており、、あた聞く責任を持つ必要がある
- 反論するよりも理解に耳を傾ける
- ある分野が感情を呼び起こすなら、その点に気を付け、心にゆとりを持たせて聞くように
- 主なアイデアを聞く
- 白昼夢を見るな
- メモを取ること(誰も全てを思い出せない)
- 質問
- 良い質問は、訓練生がどの程度理解しているかを判断することができる
- 自由にかつ、的を得た質問をすること
- 自由な質問を受け付けると、訓練生はより詳細に説明できるようになる
- あなた(または教官)に対してレッスンの説明を行うことは、訓練生が学習する際にとても役立つ
- 重点を置いた質問を行うと、教官は目的の分野に集中できる
- 焦点を絞った質問は、対象の一般的な知識を測定するのに適している
- 言い換えや認識のチェックは、理解が同じ方法であることを確認できる
- 訓練生の行動に対する教官の認識を述べることで、感情を捉えることができ、必要に応じてそれらを明確にすることもできる
- 良い質問は、訓練生がどの程度理解しているかを判断することができる
- 教育の強化
- 分野に関する知識が深まれば深いほど、教官はその分野を伝えるのが上手になる
完成基準
本レッスンにおける各項目をレビューし、適宜質問をすること。
コミュニケーションの基本的な3つの要素を理解し、それに伴う各種障壁を認識し、希望する情報を訓練生に伝えるためのコミュニケーション能力を磨きます。この基本要素を認識することは、コミュニケーションの成功に必要な理解の始まりを示します。教官は、希望する情報を訓練生徒に伝え、コミュニケーションが双方向のプロセスであることを認識するために、優れたコミュニケーション能力を身に付ける必要があります。
成功のポイント
- 人間の行動の定義について
- 人間のニーズと動機について
- 防衛機構について
- 訓練の感情反応について
- コミュニケーションの基本要素について
- 効果的なコミュニケーションの障壁について
- コミュニケーション能力の開発について
参考資料
- FAA-H-8083-9
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