評定と批評

基礎知識

このレッスンでは、批評と評価に関連する要素を紹介します。批評とは、教官の批評家としての役割を指し、訓練の評価欄では、効果的な評価の作成と実施について説明します。教官は、訓練生の成績を評価し、このフィードバックを伝えられるようにする必要があります。トレーニングコース全体、およびコースの終了時に、訓練生を評価し、コースの目標が満たされているかどうかを測定し、文書化する必要があります。

評価

目的

• 訓練生のトレーニングの進捗状況を確認する
• 優れた評価は、実用的で具体的なフィードバックを生徒に提供する。具体的なフィードバックには、パフォーマンス向上の方法に関する指示やガイダンスが含まれる
• 意思決定および判断能力に貢献する

特徴

• Objective (目標)
  • 個人的な意見、好悪や偏見ではなく、訓練生のパフォーマンスに焦点を当てる
  • 客観的になるには、評論は正直であり、かつ以前の性能に基づいていなければならない
• Flexible (柔軟性)
  • パフォーマンスは、目標達成までのコンテクストで評価する
  • 批評のトーン、技法、内容を、訓練生に対してだけでなくその場に合わせる
  • 幅のあるパフォーマンスを許可し、その時の要件を満たす柔軟性を持つ
• Acceptable (許容可能)
  • 訓練生は、批評を受け入れる前に、教官を受け入れる必要がある
    • 資格、教官能力、誠実さ、能力、権限に自信を持つこと
  • 批評を、権威と確信を持ち、誠実で有能な立場から公正に提示する
• Comprehensive (包括的)
  • 長所と短所をカバー
  • 最大のメリットは何か？
    • 2～3の主なポイント（訓練生に合わせて調整）
    • 改善が必要なもの、または改善が妥当に期待できるものだけを批評する
• Constructive (建設的な)
  • その批評は、訓練生が利を得ない限り、無意味だ
  • 解決策なしに否定的な批評をしてはいけない
• Organized (整理)
  • 組織のパターンにに従う必要がある。そうしないと、影響を受けなくなる可能性がある
    • 論理的で、訓練生や教官にとって理にかなったものであれば、どのようなパターンでも受入れが可能
  • 次のオプションがある
    • パフォーマンス自体の順序
    • デモが失敗した（または成功した）場所から逆順に作業を行う
    • 全体をひとつひとつに分割していくか、ひとつひとつから組み立てて全体にする
• Thoughtful (思慮深さ)
  • 他人の自尊心、認識、承認に対する配慮を反映
    • 訓練生を犠牲にして嘲笑や怒りや楽しむことを「批判」とは絶対に言えない
• Specific (特定 - 一般論を避ける）
  • 何が良くなかったのかという理由と改善方法を訓練生に伝える
  • 訓練生は何が良いのか、何が今一歩のか、今後どうやって改善できるのかを疑いなく受け入れるべき

Traditional Assessment (伝統的な評価)

• 一般的に学科試験から得られる
• 良いテストとは何か
  • Reliability (信頼性)
  • Validity (有効性)
  • Usability (操作性)
  • Objectivity (客観性)
  • Comprehensiveness (包括性)
  • Discrimination (識別)

Authentic Assessment (代替評価)

• 訓練生は、実際のタスクを実行し、能力と技量を有効に活用することを求められる
  • 訓練生は、選択肢から選ぶのではなく、知識から答えを生み出せる必要がある
• 自由形式の質問と基準設定は重要な特性である

Oral Assessment (口頭評価)

• 最も一般的な評価方法
• 直接関係のある（または無い）質問で構成されている

効果的な口頭質問の特徴

• 正解は1つだけ
• その時の訓練トピックに沿っている
• 簡単かつシンプルであるが、明確でわかりやすいものであるべき
• 訓練生の能力、経験、訓練の段階に適応しなければならない
• 1つのアイデアを中心に質問をすること
• 組み合わせは誰が、何を、どこで、いつ、なぜ、またはどうやってといった要素に限定する必要がある
• 訓練生にとって挑戦的でなければならない
• 適切な英語に値する言葉遣いを要求する

避けるべき質問のタイプ

• 「分かりましたか？」/"質問はありますか？" という的確な質問をする場所がない
• ややこしくこんがらがった質問
• 抽象的すぎる
• 着地点の見えない問答
• 困惑させる内容
• ひっかけ問題
• 不適切な質問

Critique (批評)

Instructor / Student Critique (教官/訓練生の批評)

• 教官は、訓練生がパフォーマンスに対する批評を行うグループ・ディスカッションを指導する
  • これは注意深く制御し、（全てをなるがままに任せるのではなく）確固たる目的で指示する必要がある
  • 訓練生が、さらに他の訓練生の間違いや成功から学ぶために、ポスト・フライト・ブリーフィングへの同席を許すのは、多くの場合有益である

Student Led Critique (訓練生主導の批評)

• 訓練生が主導して批評を行う
• これは訓練生の興味と学習意欲を促し、効果的である

Small Group Critique (小グループによる批評)

• 特定分野に関して、小グループにアサインを振り分けて、彼らの分析と発見を促す
  • 包括的な批評となる

Individual Student Critique By Another Student (他の訓練生らによる批評)

• 生徒一人に訓練への包括的な批評を求める
  • 教官は全体の流れに対して手綱を握ること

Self-Critique (自己批評)

• 訓練生が自身のパフォーマンスについて批評する
• 謝った認識のまま、または解決なしで批評させるままに任せないこと
• 訓練生が自身のミスを理解していることに留意する

Written Critique (文書による批評)

• ３つのメリットがある

1. 教官は、より多くの時間を割き、それについて考えることが可能
2. 訓練生は、この批評を保管でき、好きな時に参照できる
3. 訓練生は、他のすべての生徒の提案、推薦、意見を記録する

• 欠点は、そのクラスの他のメンバーが利益を得ないことである

基本原則

• 批評による効果をスケジュールされた制限時間を超えて、他の時間割にまで延長しないように
  • 吸収ポイントの減少は、非常にはやくきてしまう
  • 10～15分以下であること（30分以内）
• 全体を網羅しようとし過ぎないようにする
  • 主なポイントに触れるようにする（4～5個まで修正）
• 記憶すべき最重要事項をを再び強調するため、批評の概要を伝える時間をとること
• 断言調を避ける（ほとんどの規則は例外を含む）
• クラスとの論争を避け、一部に肩入れしないように
• 自分が避難をされないよう巧みに操作するような真似をしてはいけない
  • 訓練生に、教官が間違っていると言い争いをさせないように
• 記載された批評の一部は、口述によるものと一致していることを確認すること

完成基準

本レッスンの各項目をレビューし、適宜質問を行うこと。

教官訓練生は、本レッスンで紹介した方法と特性を用いて、訓練生を適切に評価し、批評することができます。

成功のポイント

• 評価：
  • 評価の目的について
  • 効果的な評価の一般的な特徴について
  • 従来の評価について
  • 真の評価について
  • 口頭評価について
  • 効果的な質問の特徴について
  • 回避する質問の種類について
• 批評：
  • 教官/訓練生の批評について
  • 訓練生主導の批評について
  • 小さなグループ別の批評について
  • 他の訓練生たちがひとりの学生を批評することについて
  • 自己批評について
  • 文書による批評について

参考資料

• FAA-H-8083-9