中心点を置いた旋回
基礎知識
このレッスンでは、中心点を置いた旋回のパフォーマンスに関する知識を紹介します。この操縦はACS則って行われる必要があります。これは、空中を移動する航空機の動きとその地上軌道の違いを明らかにします。機体は、一定の高度を維持しながら、最大約45度のバンクで、地上基準点から等距離の半径を持つ完全な円になるよう2回、旋回飛行をします。一定の高度を維持しながら、飛行経路と地上基準間に注意を払いつつ、機体から地上基準点までの距離の違いより、ドリフトの認識をもつようになります。
中心点を置いた旋回の目的
- この操縦で、次の能力を身に着けることを目的としている
- 飛行経路と地上参照点にたいして注意を分配する
- 高度を維持しながら地上基準に向かうまたは離れていくような風による機体のドリフトを認識する
- 旋回技術をさらに完璧にし、その操作中における風のドリフトを修正する
- これらの能力は航空キャリア全体で役立ち、十分に練習することで自然と身につくようにになり、より高度な操縦と安全な運航を行うことができる
高度の選択
- 進入高度は600'- 1,000' AGLである必要がある(ACSより)
- ±100'高度制限
- 600’AGLでは、高度が低すぎるため操作エラーの余地はなく、また1,000’AGLでは、上方にスペースがない
参照点の選択
- 機体が地面に近づくので非常に重要
基準点は
- 操縦士から見て目立ち、簡単に識別できる
- 正確な参照点として必要十分な小ささ
- EX:木、交差点など
- 池の場合だと参照点としては大きすぎる
- 交差点は良い参照点である
- 人口密集地域、障害物、および危険をもたらす可能性のあるものを除いた参照のみを使用すること
- 緊急着陸エリア
- 参照点は、緊急の場合に備えて緊急着陸エリアが近くに位置する必要がある
- よくある間違い - 滑走距離内に適切な緊急着陸エリアがない基準点を選択してしまう
進入前に
- 操縦前チェックリスト完了
- クリアリングターン
- 対気速度
- VA - 進入前に、VA速度において、操舵桿に手を触れずとも機体が水平姿勢を保てるようトリム設定を行うこと
進入手順
- 風向きをを見つけ出す
- 煙
- ほこり
- 水面
- 地表風と上空の予測風との差を補正する
- 風によるドリフトを確かめるため定点旋回 - ポイントを監視しつつ一定速度の旋回を続ける
- 機体の動きに注意すること
- 機体を風下(追い風)の位置に進入させる
- ポイント中心からは、半径¼から½マイル程度離れている必要がある
- 進入時の機首方位に注意すること
- オリエンテーションを維持し、マニューバ全体を通して計画を欠かさないこと
- よくある間違い - 進入手順の誤り
風によるドリフトの修正
ポイントの真横において
- 調整された操作でロールインを開始し、急のバンク角(≤45度)で参照点から¼マイル程度の距離を維持する
- 追い風と、それに伴う最速対地速度のため、この操作は必要である
- 対地速度が速いほど、一定半径を維持するために必要なバンク角が急になる
- 逆に対地速度が遅いほど、バンク角は浅くなる
- 追い風と、それに伴う最速対地速度のため、この操作は必要である
最初の半円旋回時(ダウンウィンド半分のエリア)

- 最も急なバンク角から始まり、最も浅い角度で終わる
- 旋回が進むにつれて、追い風から向かい風に変わる
- バンク角は、一定の回転半径を維持するために徐々に小さくする必要がある
- バンク角が小さくなると、高度を維持するために必要な後方への入力操作圧力が少なくなる
- よくある間違い - 選択した高度または対気速度を維持できない
- 参照点、視覚的な周囲対象物、および計器類に対して注意を分配する
- 旋回を調整し続ける
- バンクが減少すると、ラダー圧が減少する
- よくある間違い - 調整されていない飛行制御の使用
- 機体の飛行と操縦の間で注意を分配する
- 風補正のため機首を風向き側へ徐々に向けて、一定の地上軌道を維持する
- ダウンウィンド - 機首を内側に向ける
- 旋回が進むにつれて、風が機体を円の外側に押し出す
- 円を維持するために飛行機を内側に留るよう操作する
- よくある間違い - 風のドリフトの不適切な修正
- 旋回の最初、½程度進んだポイントにおいて、バンク角は最も浅くかつ補正のない状態である必要がある
- 真っ向から向かい風が吹きつけるため、対地速度は最低速度
- その場合は風への補正は必要ない
もう半分の半円旋回時(アップウィンドのエリア)
- 前半の反対 - 浅いバンクから急なバンクにゆっくりと移行していく
- 旋回が進むにつれて、向かい風から追い風に移行する
- 対地速度が上がるにつれて、バンクは、望ましい旋回半径を維持するために増加する必要がある
- バンク角が大きくなると、高度を維持するためにさらに後方への入力操作圧力が必要になる
- よくある間違い - 選択した高度または対気速度を維持できない
- 調整を維持
- バンクが増加するにつれて、ラダー圧力が増加する
- よくある間違い - 調整されていない飛行制御の使用
- 風補正のため機首を風向き側へ徐々に向けて、一定の地上軌道を維持する
- 風上では、機首は円の外側に向かっていく
- 風が機体を基準点に向かって押しこんでいく
- 風上では、機首は円の外側に向かっていく
- よくある間違い - 風のドリフトの不適切な修正
- 旋回の後半の終わりに、バンク角は進入時のバンク角に戻るはず
- 後半の旋回が終了すると、機体は操縦の開始地点に追い風を伴って位置する
- これには、最も急なバンク角が必要で、補正は必要ない
完了
- 少なくとも2回旋回を完了したら、最初の進入時に設定した機首方位へスムーズなロールアウトを開始する
注意の分配
- 機体の位置を事前に把握して、旋回全体を計画することにより、外部参照点を維持する
- よくある間違い - 不十分な計画、オリエンテーション、または注意の分配
- 高度、対気速度、バンク角、および調整を確認するために、コックピットの内部/外部に対して注意をすばやく分配する
- 操作に焦点を合わせながら他のトラフィックをスキャンする必要がある
- バンクが浅くなると、他のトラフィックをチェックする機会としてその時間を使用する
- よくある間違い - 不十分な計画、オリエンテーション、または注意の分配
まとめ
- 風が強いほど、操縦全体でバンク角度を変化させる必要がある
- 最大バンク角は最も急な地点でも45度までにする必要がある
- 理論的には、風がなければ、バンク角は一定になる
- バンクが急であるほど、高度を維持するために必要な後方への入力操作圧力が大きくなる
- 飛行経路に沿った基準点を選ぶ
- 例:納屋、建物、湖など、通常は円に沿って¼間隔のもの
- 十字交差点は良い基準点である
- 円を維持し、機体が適切なタイミングで適切な場所にあるようにする

よくある間違い
- 進入手順の誤り
- 不十分な計画、オリエンテーション、または注意の分配
- 調整のとれていない飛行制御の使用
- 風のドリフトの不適切な修正
- 選択した高度または対気速度を維持できない
- 滑走距離内に適切な緊急着陸エリアがない地上基準点を選択してしまう
完成基準
レッスンは、訓練生がマニューバの知識を実証でき、中心点を置いた旋回の操縦で熟練度を示したときに完了します。また訓練生は、旋回中の地上軌跡に対する風の影響を理解します。
成功のポイント
本レッスンの各項目をレビューすること
この操縦は、横風の変化による飛行機の旋回傾向をよりよく理解する一方で、操縦士が機体操作と他トラフィックへの注意を分配することを学ぶのに役立ちます。
レビュー
- この操縦を行う目的、および基本/応用的な飛行技能との関係について
- 適切な高度を選択する方法について
- 緊急着陸エリアを考慮した適切な地上基準点の選び方について
- オリエンテーション、注意の分配、および計画について
- 進入前の設定と対気速度について
- 進入手順について
- 風よけ補正について
- 標高、対気速度、基準点からの距離を維持する方法について
- 飛行制御の調整について
参考資料
- FAA-H-8083-3