直進降下とターン降下
基礎知識
このレッスンでは、直線降下とターン降下に関連する要素を紹介し、訓練生は両方の状況で一定の対気速度降下を維持する能力を身につけます。直線降下と旋回降下は、飛行に関する基本技能最後の砦です。これに加えて、他の基本技能とともに、飛行の他のすべての操作が構築されます。降下は、航空機が高度の低下をもたらす構成が整えられた際に行われます。降下は飛行の基本的な部分です。降下を理解して適切に実行すると、他のすべての操作がより簡単になります。
フライトコントロール
回転軸
- ピッチ - 横軸
- ロール - 縦軸
- ヨー - 垂直軸
ピッチ
- エレベーターで制御
- 背圧
- エレベータ表面の後縁を上に偏向する
- エレベーターのキャンバーを減らし、下向きの空力を作り出す
- 全体的な効果
- 飛行機の水平尾翼を下げ、機首を上げる
- ピッチングモーメントはCGを基点に発生する
- ピッチングモーメントの強さは、CGと水平尾翼面の間の距離に依存する
- 前方圧力
- エレベータ表面の後縁を下に偏向する
- キャンバーを増やし、より多くの揚力を生み出す(尾翼を下げる力が弱まる)
- 全体的な効果
- 飛行機の水平尾翼を上げ、機首を下げる
- ピッチングモーメントはCGを基点に発生する
ロール
- エルロンで制御
- 左方向へ制御する場合
- 左翼側のエルロンが上向きに偏向してキャンバーが減少し、それによって左翼の揚力が減少する
- 右翼側のエルロンが下向きに偏向してキャンバーが増加し、それによって右翼の揚力が増加する
- 右翼の揚力が増加し、左翼の揚力が減少すると、飛行機は左にロールを始める
- 右方向へ制御する場合
- 上記とは逆のことが起きる
ヨー
- ラダーによって制御される
- ラダーパネルが気流によって逸らされると、水平方向の力が、逸らされた方向とは反対に作用する
- 左ラダーペダルを押すと、ラダーパネルが左に偏向する
- これにより、垂直尾翼とラダー周りの空気流れが変わり、横方向の揚力が発生。そこから尾翼が右方向へ移動し、機首が左にヨーイングする
- 右ラダーペダルを押すと、上記とは逆のことが起きる
飛行中に作用する力
- 降下中、重量が飛行経路に対して垂直に作用しなくなる
- 順方向に作用
- これにより、抗力が減少し、力のバランスを取るために推力を下げる必要がある
- 降下に入るときに推力が減少しない場合、対気速度が増加してしまう
- これにより、抗力が減少し、力のバランスを取るために推力を下げる必要がある
- 順方向に作用
降下の種類
部分的な出力による降下
- 高度を落とすために通常取られる方法は、部分的な出力による降下である
- メーカーが推奨する対気速度とエンジン出力設定を使用する必要がある
- 目標降下率は約500 fpm(これは航空機によって異なる)
- 目的の対気速度、ピッチ姿勢、およびパワーの組み合わせを事前に選択し、一定に保つ必要がある
最小安全速度での降下
- ピッチアップ姿勢かつ、パワーアシストによる降下は、主にショートフィールドアプローチ中における障害物をクリアするために使用される
- 対気速度は通常、メーカーによって推奨されている
- 特徴
- 通常の降下角より急勾配
- 過度の降下が発生した場合、低対気速度から加速するために過剰なパワーが必要になる場合がある
滑空
- エンジン出力がほとんどまたはまったくない状態において、制御された降下によって高度を落とす基本的な操作のこと
- 降下速度は、重力と揚力のバランスをとることによって制御される
- よくある間違い - 必要に応じて、エンジンを整えるためキャブレターヒートを使用しない
- 長時間アイドリング状態で動作している場合は、エンジンに一瞬出力を加えて動作を整える
統合的な飛行指導
- 飛行操作は、最初に外部の視覚的参照、次に内部の計器類の参照によって学習する必要がある
直線降下
開始
- エンジン出力を必要な設定(またはアイドル)に下げる
- 必要な対気速度に低下するまで、エレベータの背圧によって一定高度を維持
- 目標の対気速度に達したら、機首を下げて対気速度を維持しつつ、機体構成をトリムで整える
- 必要な対気速度に低下するまで、エレベータの背圧によって一定高度を維持
- よくある間違い - 不完全なトリム手順
維持
- 安定したら、対気速度計をクロスチェックして、目的の速度が維持されていることを確認する
調整
- 対気速度が速い場合
- 機首を少し上げ、対気速度を安定させ調整を確認できるようにする
- 対気速度が遅い場合
- 機首を少し下げ、対気速度を安定させ調整を確認できるようにする
- よくある間違い - 圧力ではなく制御動作の適用
- 目的の対気速度になったら、姿勢指示器を用いて水平性に関連する機首の位置に注意すること
- よくある間違い - 外部と内部のリファレンスをクロスチェックして正しく解釈できない
- 機体をトリムで整えて制御圧力を緩和する
- よくある間違い - 不完全なトリム手順
均衡の維持
- エンジン出力がなければ、左旋回の傾向が大幅に減少する
- アドバース・ヨーはまだ存在する - 釣合旋回計を参照して、旋回中の調整を維持する
- よくある間違い - 調整されていない飛行制御の使用
レベルオフ
- 目的の高度に到達する前にレベルオフを開始する必要がある
- 降下率(VSI)の約10%に等しい距離でレベルオフを開始する
- 例:500 fpmで下降する場合は、目的の高度の50フィート手前でレベルオフ操作を開始する
- 降下率(VSI)の約10%に等しい距離でレベルオフを開始する
- 同時に機首を上げ、パワーを希望のクルーズ設定に上げること
- エンジン出力を加えて対気速度を上げると、機首が上がる傾向がある
- 適切なエレベーター圧力を適用し、圧力を緩和するためにトリムを調整する
ターン降下
開始
- 下降が確立されたら、旋回に入りつつ、バンクとピッチの姿勢を同時に調整する
- 姿勢指示器と水平線を参照して、希望するバンク角度を設定する
維持
- 安定したら、対気速度計をクロスチェックして、目的の対気速度が維持されていることを確認する
- ピッチの調整は、直線降下と同じ方法で行われる
- よくある間違い - 圧力ではなく制御動作の適用
バンク角度の調整
- 必要なバンク角度を維持するために、必要に応じてバンクを増減する
- バンクの調整は対気速度に影響を与える可能性があり、ピッチを再調整する必要がある
- バンクが増加すると、対気速度を維持するために低いピッチ姿勢が必要になる
- バンクが減少すると、対気速度を維持するために高いピッチ姿勢が必要になる
- 目的の対気速度になったら、水平線に対する機首の位置に注意して姿勢指示器を参照すること
- トリムで制御圧力を緩和する
- コーディネーションを維持
- エンジン出力がなければ、左旋回の傾向が大幅に減少する
- アドバース・ヨーがまだ存在する - 釣合旋回計を参照して、旋回中の調整を維持する
- エンジン出力がなければ、左旋回の傾向が大幅に減少する
- よくある間違い - コーディネーションが取れていない飛行制御の使用
- よくある間違い - 圧力ではなく制御動作の適用
- よくある間違い - 外部と内部のリファレンスをクロスチェックして正しく解釈できない
- よくある間違い - 不完全なトリム手順
トリム手順
- 飛行機は、主要な操縦装置(ラダー、エルロン、エレベーター)が、機体がまっすぐに、通常の重量と荷重で水平に航行しているときに、飛行機の非稼働表面において流線型になるように設計されている
- 機体がそのバランスの取れた状態から外れた姿勢を取っている場合、1つ以上の操縦翼面は、継続的な操縦入力によってその流線型を崩さなければならない
- トリムタブはこの操作に関して操縦士の負担を軽減する
- 機体が適切にトリムされていて、かつ滑らかな空気流れの中にある場合、直線水平飛行は制御圧力をほとんど加える必要がない
固定翼のトリム
- ピッチを設定する
- パワーを設定
- 対気速度を安定させる
- 現在の対気速度に合わせてトリムを設定する
- 技術
- 主要な飛行制御を使用して、機体を望ましい姿勢で確立して保持する
- 水平線を参照して適切な姿勢を確立しつつ、同時に飛行計器を参照して確認する必要がある
- 次に、トリムを適用して、必要な圧力まで軽減する
- 最初に飛行機の姿勢を確立して保持する必要がある。次に、飛行機が「ハンドオフ」つまり手放し飛行で希望の飛行姿勢を維持できるように、制御圧力を調整する
- パワーを変更した場合、水平飛行を維持するためのピッチ姿勢が変わり、機体を再度トリミングする必要がある
- よくある間違い - 不完全なトリム手順
- トリムを頻繁かつ僅かな範囲で使用する
- トリムで飛行機を飛ばそうとすることは、基本的な飛行技術の一般的な欠点である
- 望ましい姿勢を確立し、航空機をトリムする
- 望ましい姿勢を確立するためのトリムをしないこと(最初にトリムし、次に姿勢を確立しないこと )
- 操縦士が感じる制御圧力は、機体姿勢が計画的に変更されている間の意図的な制御入力の結果である必要がある
- 操縦しようとしつつ、実際のところ機体によって勝手に加えられた制御圧力ということはあってはならない
過剰制御&緊張の克服
過剰制御の兆候
- 制御圧力の代わりに操縦桿自体を動かして制御してしまう
- 操縦桿の動きが急激で大きい
- ホワイトナックル(デスグリップ)
- 緊張感
予防
- 過剰な制御を指摘し、正しい軽い/指先のグリップと圧力を示す
- よくある間違い - 圧力ではなく制御動作の適用
よくある間違い
- 外部と内部の計器類の参照をクロスチェックしつつ正しく解釈することに失敗
- 圧力ではなく制御動作の適用
- 飛行制御の調整されていない使用
- 不完全なトリム手順
- 必要に応じて、エンジンを整えるためにキャブレターヒートを使用しない
完成基準
訓練生は降下に関連する要因を理解し、直進またはターン飛行中に降下を適切に実行できます。
成功のポイント
本レッスンの主な項目をレビューすること。
降下は飛行における基本技能の一部であり、簡単に聞こえますが、実際には非常に重要な操作です。飛行の基本のすべてと同様に、視覚的な参照によって飛行することを学び、それらの参照を計器類の参照によってバックアップすることが重要です。
レビュー
- 飛行制御の効果と使用について
- 統合的な飛行指導方法について
- ピッチ、バンク、ヨー、パワー制御に使用される外部および内部の参照。それらの参照点のクロスチェックと解釈; 使用される制御手順について
- トリム手順について
- 緊張と過剰操作を乗り越えるための方法について
- 直線降下とターン降下に関連するシミュレートされた一般的なエラーを分析して修正できる
参考資料
- FAA-H-8083-3