パワーオフ180精度アプローチと着陸
基礎知識
このレッスンでは、パワーオフ180度精度アプローチと着陸に関連する要素の紹介をします。パワーオフ180度は難しい操作であり、習得するのが最も難しいものの1つでもあります。180度のパターンでエンジン出力をアイドリングして滑走路に向かうアプローチ及び着陸操作は、滑走路の指定した点、またはそこから200フィート以内にタッチダウンすることを目的とします。安全な着陸が完了するまで、エンジン出力を使わずに機体を正確に飛行させるために必要なスキルと手順を実行する能力を身に着けることが必要です。
一般
- 飛行機のグライドパスの確認と調整
機体設定
- 通常の着陸構成ですが、アプローチのグライドパスを制御するために必要に応じてフラップを使用する
- ベストな滑空対気速度のために機体設定を整える
- ピッチ姿勢は、望ましい対気速度を維持するために使用される
- 機首を下げる(対気速度を上げる)と、傾斜角が急になる
- 機首を上げる(対気速度を下げる)と、対気速度が遅くなり、揚力が不十分になるため、急速に降下していく
- 滑空距離を伸ばして目的の着陸地点に到達しようとしないこと
- よくある間違い - エンジン出力、ウィングフラップ、またはトリムの不適切な使用
- エンジン出力なしでグライドパスからの逸脱を修正
- ただし、出力を追加せずにアプローチを安全に完了できない場合は、状況を修正するために必要な操作を行うこと
- アプローチを安定させるのに役立つ制御圧力を緩和するためのトリム
- エンジン出力なしでグライドパスからの逸脱を修正
- 通常のトラフィックパターンを飛行する
- 風と高度の条件がパターンを変える可能性がある
- 機械的な操作ではなく、高度などを日々、または異なる空港で調整する必要がある
- コーディネーション
- いつものように、機体設定を調整しておくこと(スリップは例外)
- ラダーを使用して旋回率を上げようとしないこと。これにより、クロスコントロールストールが発生する可能性がある
タッチダウンポイントの選択
- 滑走路の1/3の範囲内の点を選択すること
- 着陸エリアの端にあるポイントは選択しないこと。エイミングポイントは滑走路の手前になるため
- タッチダウンポイントを選択したら、エイミングポイントを選択する
- 機体は通常、約400 '-500'(約2つの滑走路ストライプ)を滑空する
- これは風の状態によって変わる可能性がある
- 機体は通常、約400 '-500'(約2つの滑走路ストライプ)を滑空する
- よくある間違い - 風と着陸面の影響を考慮しない
- 風に基づいてエイミングポイントを調整する(向かい風が強いほど、航空機が地表直上を滑空する距離は少なくなり、エイミングポイントはタッチダウンポイントに近づける必要がある)
操作
ダウンウィンド区間
- 1,000 ’AGL
- 着陸前のチェックリストを通常どおりに完了する(中間点)
- よくある間違い - 適切なタイミングまたは適切な順序でアプローチおよび着陸構成を確立できない
- 選択したタッチダウンポイントが真横に来たら、スロットルをアイドルまで絞る*キーポイント
- この操作を行い次第、最高の滑空対気速度に達するまで高度を維持し(73kts)、トリムする
- この時点で、風の速度/方向についてある程度の知識が必要である
- この知識に基づいて、残りのアプローチの計画を行うことができる
- 選択したタッチダウンポイントが真横に来たら、スロットルをアイドルまで絞る*キーポイント
- よくある間違い - パターンの重要なポイントを特定できない
- 重要なポイントを特定できないと、パフォーマンスが不適切になる
- 望ましいパフォーマンスのための適切なポイントでアイドル状態になるようにエンジン出力を削減する
- 重要なポイントを特定できないと、パフォーマンスが不適切になる
ベース区間への旋回
- 風が強い場合、短い着陸距離を避けるために、ベース区間への旋回を早めに開始する必要がある
- 対地速度が低くなり、地面効果が得られなくなる
- 風が穏やかな場合、オーバーシュートを避けるために、ダウンウィンドレグを延長する必要がある
- よくある間違い - 風の影響を考慮しない
- 風がアプローチにどのように影響するかを理解し、それに応じて計画する
ベース区間
- 旋回してベース区間に着いた直後は、機体はベース周りに位置する*キーポイント
- *アプローチに入る前に、レビューして必要な修正を行う
- よくある間違い - パターンの重要なポイントを特定できない
- 重要なポイントを特定できないと、パフォーマンスが不適切になる。例えばグライドを認識/修正できない
クロスウィンド下での着陸
- 横風がベース区間で追い風に変化する場合、高度は高くなる(逆もまた然り)
- 対地速度が速いため、機体はそれほど高度を失うことはない
- よくある間違い - 風の影響を考慮しない
- 風がアプローチにどのように影響するかを理解し、それに応じて計画する
- エイミングポイント
- エイミングポイントを観察し、ウィンドシールドを通して見える景色における上下の動きを探す
- これは、いつファイナルに移行するかを決定するのに役立つ(左右への動きが発生すものの、これらは無視する必要がある)
- 上/下の動きがない場合、飛行機は適切なアプローチをしている。そのまま通常のアプローチを続けること
- 動きがある場合、必要な修正を行う(または機体位置が高く見える場合)
- 下降する(高すぎる)場合、フラップを使用し、対気速度を調整し、アプローチ長を長くする
- 上昇する(低くなる)場合、フラップを使用し、最高の滑空対気速度を維持し、直接ポイントに機体を向ける
- これは、いつファイナルに移行するかを決定するのに役立つ(左右への動きが発生すものの、これらは無視する必要がある)
- エイミングポイントを観察し、ウィンドシールドを通して見える景色における上下の動きを探す
ファイナルアプローチ
- 着陸チェックリストをもう一度チェックして、完了する
- アプローチを評価し、目的のポイントに到達するために必要な調整を行う
- フラップは降下率を上げるために、また飛行機の着陸速度を遅くするために使用できる
- フラップにより対気速度が遅くなり、降下率が増加することに注意
- フラップを使用するときは少し高度を上げる必要があるかもしれないし、反対に正しいアプローチを維持するためにフラップを下げて上昇する動きを受け入れる必要があるかもしれない
- フラップにより対気速度が遅くなり、降下率が増加することに注意
- フラップは降下率を上げるために、また飛行機の着陸速度を遅くするために使用できる
安定したアプローチ
- エイミングポイント
- ウィンドシールド(フロントガラス)内でのいかなる動きを許さないものの、必要に応じて調整する
- ポイントが上方へ移動した場合は、すぐにフラップを使用せずに、滑走路へ直接移動します。近い場合は、地表近くでフラップを展開して、さらに機体を浮かせるようにする
- ポイントがフロントガラスで上方へ移動している場合、機体高度は低くなってきている
- ポイントが下方へ移動した場合は、残りのフラップ、Sターン、スリップを使用し、対気速度を下げるか、ピッチ姿勢を下げて、元のエイミングポイント(100 '-150')の少し前にエイムを合わせる
- ポイントがフロントガラスで下方へ移動している場合、機体高度は高くなってきている
- ポイントが上方へ移動した場合は、すぐにフラップを使用せずに、滑走路へ直接移動します。近い場合は、地表近くでフラップを展開して、さらに機体を浮かせるようにする
- わずかな調整により、安定したアプローチと目標どおりの着陸を維持できる
- 変化に対して積極的に修正を行う
- ウィンドシールド(フロントガラス)内でのいかなる動きを許さないものの、必要に応じて調整する
- よくある間違い - 安定したアプローチの確立と維持の失敗
- ピッチ/構成を小さく頻繁に調整して、グライドパスと対気速度を確立すること
- アップドラフト(上昇気流)とダウンドラフト(下降気流)は、ある瞬間にアプローチ高度が高く、次の瞬間には低くなる可能性がある
ラウンドアウト&タッチダウン
- タッチダウンポイントから200フィート以内に、適切なタッチダウン姿勢で通常の着陸をする
- 飛行機は通常、接地する前に約400フィート-500フィート滑空する
- 必要に応じて、着陸地点に到達するまで機体を地表直上を飛行させる
- スポットタッチダウンが重要ではあるが、それよりも適切に実行されたアプローチ/着陸の方が操縦にとって不可欠である
- 適切なアプローチと着陸を犠牲にしてまでタッチダウンしようとしないこと
- 機体を無理に下に押しやったり、滑空距離を強引に伸ばそうとしないこと。失速が発生し、着陸が困難になる可能性がある
- よくある間違い - 接地後のエレベーター圧力の抑制の失敗
- 主脚からさきに設置し、できるだけ前輪に圧力をかけないように着陸すること
- よくある間違い - ラウンドアウトおよびタッチダウン中の不適切な手順
- 高すぎたり低すぎたり、浮いてバルーニングしたりしないように注意すること。必要に応じて着陸復航も行うこと
方向制御
- ラダーで方向制御を維持し、減速しながら必要な横風補正を適用する
- よくある間違い - 接地後の不十分な方向制御とブレーキの不適切な使用
- 最小限のブレーキを使用し、地面にしっかりと/または機体が制御下に置かれるまでブレーキをかけないこと
- 両方のブレーキに同じ圧力をかけ、曲がったり制御を失ったりしないようにする
- 最小限のブレーキを使用し、地面にしっかりと/または機体が制御下に置かれるまでブレーキをかけないこと
よくある間違い
- 適切なタイミングまたは適切な順序でアプローチおよび着陸構成を確立できない
- パターンの重要なポイントを特定できない
- 安定したアプローチの確立と維持の失敗
- 風と着陸面の影響を考慮していない
- エンジン出力、ウィングフラップ、またはトリムの不適切な使用
- フレアとタッチダウン中の不適切な手順
- 接地後のエレベーター圧力の抑制
- タッチダウン後の不十分な方向制御
- ブレーキの不適切な使用
完成基準
訓練生は、パワーオフ180度精度アプローチと着陸を実行できます。選択した着陸地点、またはそこから200フィート以内に機体を停止できるような着陸を行うことができます。さらに着陸への安定したアプローチを維持しながら修正を行うべき時期を理解しています。
成功のポイント
本レッスンの各項目をレビューすること
パワーオフ180度精度のアプローチと着陸は、風、高度、対地速度、およびその他の要因に基づいて、必要に応じてアプローチを継続的にレビューしつつ調整することで構成されます。
レビュー
- 構成とトリムについて
- 風の影響とタッチダウンエリアの選択について
- パターン上の重要なポイント
- 選択したタッチダウンエリアへの推奨対気速度での安定したアプローチについて
- 飛行制御の調整について
- ラウンドアウトとタッチダウン中のタイミング、判断、および制御手順について
- タッチダウン後の方向制御について
- チェックリストの使用について
- 着陸後の滑走路侵入回避手順について
参考資料
- FAA-H-8083-3