レベル・ターン

← 勉強室メインに戻る

ACS/PTS・オペレーション分野 FAA 陸上単発ー飛行機
フライトの基礎
該当する資格 自家用操縦士, CFI

基礎知識

このレッスンでは、レベルターンの確立と維持に関連する要素について紹介します。思っている以上に、旋回(ターン)するタイミングはたくさんあります。旋回に関する空力学をしっかりと理解することで、他の多くの操作がはるかに簡単になります。レベルターンは、高度と対気速度が維持されるターンです。これは、より困難な操縦の基本要素であり、操縦士が飛行機をコントロールするのに役立ちます。

フライトコントロール

  • すべての4つの主要なコントロールは、旋回を行うときに調整をとりつつ使用される 
    • エルロン - 翼を傾け、任意の対気速度で旋回速度を決定する
    • エレベーター- 操縦士に対して機首を垂直に上下に動かす
      • 旋回のピッチ姿勢を設定し、旋回中に機首を「引く」
    • スロットル - 対気速度に使用できる推力を提供する
    • ラダー- 他のコントロールによって生成されたヨー効果をオフセットする
      • ラダーそれ自体が機体を旋回させるわけではない!

1.jpg

旋回の働きについて

  • 翼の揚力の方向をどちらかに変更すると、機体はその方向に引っ張られる
    • これは、飛行機を傾けるために調整されたエルロンとラダーを適用することによって達成される

揚力

  • 直線水平飛行では、揚力は地球に対して垂直上向きに翼上に作用する
    • 機体がバンクされると、揚力は2つの方向成分に分けられる
      • 垂直成分(VC:Vertical Component)- 地球表面から垂直に作用し続け、重力に対抗する
      • 水平成分(HC:Horizontal Component- 地球表面から平行に作用し続け、慣性(または遠心力)に対抗する
      • VC / HCは互いに直角になるよう発生する。そのため総揚力は、バンクされた翼に対して垂直に作用する
    • 揚力の水平成分が飛行機を旋回させるものであり、ラダーによるものではない
    • 旋回時に迎角を大きくする必要がある
    • これは、揚力の垂直成分の一部が水平成分に転換されたためである
      • この損失を補うには、もともとの総揚力を増やす必要がある

2.jpg

アドバース・ヨー

  • エルロンを適用して機体を傾けるとき、下方側に位置するエルロンは上方よりも大きな抗力を生み出す
    • 言い換えると下方側の翼は、より多くの揚力を生み出す。これは、誘導抗力が大きくなることに相当し、旋回方向とは反対へヨーイング運動を生成する
      • これに対抗して調整された操作を維持するには、旋回方向にラダーを入力する必要がある

3.png

旋回率

  • 旋回速度は対気速度と揚力の水平成分(バンク角)に依存する
    • 揚力の水平成分(バンク角)
    • バンク角が大きいほど、旋回速度が速くなる
      • 特定の対気速度での旋回率は揚力の水平成分に依存する
  • 揚力の水平成分は、バンク角に比例して変化する
    • バンク角が増加するにつれて、揚力の水平成分が増加する
      • バンクの角度が急になるほど、旋回率が高くなる

対気速度

  • 対気速度が上昇すると、慣性により航空機の旋回速度が低下する
    • 航空機の対気速度が高いほど、慣性が大きくなる
      • 慣性が大きいほど、航空機は直進を続けようとするため、旋回速度は遅くなる
  • バンクの特定角度では、真対気速度が速いほど、旋回半径が大きくなる

オーバーバンク傾向

  • 旋回半径が小さくなると、内翼と外翼の速度間に大きな差が生じる4.png
    • 旋回の外側にある翼は、内側よりも長い距離を移動するが、どちらも同じ時間内にそれぞれの経路を動く
      • そのため外側の翼は内側よりも速く移動する必要がある。結果、外翼の方がより多くの揚力を生成することに繋がる
        • 内側と外側の翼の揚力の差により、バンクの角度がさらに増加しする
      • 浅い旋回(バンク角度20度未満)では、外側の翼によって生成される過剰な揚力は、飛行機固有の横方向安定性のために生成される力よりも小さく、飛行機は水平飛行に戻る傾向がある
      • 浅いバンクが中程度のバンク(20-45度)に変わり、旋回半径が減少すると、旋回の外翼の対気速度は、内側に対して増加するが、作成された力は、翼の力と正確に釣り合う。飛行機固有の横方向の安定性により、一定の速度であり、バンクを維持するためのエルロン圧は不要になる
      • 旋回半径がさらに減少すると(バンクが中程度のバンクから急勾配のバンク>45度に進むとき)、揚力差が横方向の安定性のバランスを崩してしまうため、バンクが旋回を急勾配にしないようにするためにも反対方向のエルロンを入力してカウンターをあてる必要がある
  • 外翼の揚力が大きくなるため、抗力も大きくなる
    • これにより、急な旋回中にわずかなスリップが生じるが、ラダーを使用して修正していくこと

調整

  • 飛行機がスキッドまたはスリップをしているときはいつでも、旋回釣合計のボールが変位する
    • 適切に調整された飛行では、スキッドやスリップが無い
  • ボールに乗って」…ボールを中央に配置し、調整された飛行を維持すること
  • 調整されていない飛行はパフォーマンスの低下を引き起こす(より多くの抗力)

統合された飛行

  • バンクの望ましい角度を確立するために、パイロットは姿勢指示器と同様に外部の視覚参照点を使用する必要がある

外部参照

  • 翼またはカウリングの上部と、水平線によって形成される角度
  • 水平線で飛行機のピッチを参照すること
    • バンク角度が大きいほど、水平飛行を維持するために必要なピッチが大きくなる
      • さまざまなバンク角度とピッチによる外部の見え方を生徒に教えること

内部参照

  • 姿勢指示器は、地平線に対する翼の角度を確保するために使用される
    • 外部参照に基づいてバンク角度を判断する方法を学ぶ

水平旋回

  • 旋回開始前に、旋回方向先のエリアに他機による影響がないことを常に確認 

旋回開始

  • 操縦桿とラダーを同時に希望の方向へ動かすこと
    • 飛行機がバンクに入る対気速度は、制御圧力の速度と量に依存する
      • バンクの量は、エルロンが適用される時間に依存する
  • ラダー圧力は、釣合旋回計のボールを中央に保つのに十分でなければならない
    • ボールガ中央に配置されていない場合は、ラダーをボールの方向により踏んで再び中央に配置させる
  • よくある間違い - 調整されていない飛行制御の使用

バンク角度の確立

  • 機体カウリングまたは翼と水平線のなす角度を使用すること
    • これにより、バンク角度のおおよその程度がわかる

旋回姿勢

  • 外部の視覚参照の配置に影響を与えるため、これは重要である
    • 地面に対して直立するために、機体が旋回姿勢から外れていく傾向がある
      • その代わりに機体ロールの程度を調整するようにすること

高度維持

  • 垂直リフトが重量と等しくなるように、総揚力を増やす必要がある
    • 高度を維持するのに十分なエレベーターの背圧を加えることにより、総揚力を増加させる
      • より多くのバンク = より多くの背圧
  • 水平線を維持するための基準として水平線を使用する
    • 座席は飛行機の中心線のいずれかの側にあるため、水平線に対する機首の位置は、左右の旋回で異なる
      • 左旋回では、機首が水平またはわずかに高く見えることがある
      • 右旋回では、機首が低く見えることがある

エンジン出力

  • 揚力が増加すると、誘導抗力も増加する
    • 抗力の増加により、対気速度が低下する可能性がある
      • 必要に応じて対気速度を維持するためにエンジン出力を追加する(通常、バンク角が30度を超えるとより顕著になる)

旋回中

  • バンク角度の維持
    • バンクの望ましい角度が確立されたら、エルロンとラダーの圧力を緩める必要がある
    • これは、操舵面が(旋回中に)ニュートラル位置にすることで、バンクの増加を止めるためにある
      • 浅い角度での旋回では、エルロン圧力が旋回方向に必要になる
      • 急な角度での旋回では、エルロン圧力が旋回方向の反対側に必要になる
  • よくある間違い - 不正な姿勢とバンク角度の管理

高度維持 

  • エレベータの背圧を解放しないこと。高度を維持のために入力量を増やす必要がある場合もある
    • 旋回中、外部参照点をクロスチェックし、時々高度計を含めてピッチ姿勢を確認する
  • よくある間違い - 外部と機器のリファレンスをクロスチェックして正しく解釈できない

微調整

  • バンク角が高すぎる、または低すぎる場合→エルロンを使用して目的のバンクを再確立する
  • 上昇/下降の場合→地平線に対してピッチ姿勢を調整する
    • 高度計/ VSIを再確認して、高度が維持されているかどうかを確認する
      • 高度が維持できる姿勢が確立されたら、地平線に関連する修正を行う
        • 直線水平飛行のように - 水平線上の参照を維持するように飛行機のピッチ姿勢を調整する
  • 必要な調整が行われたら、水平飛行のために飛行機を整える
  • 旋回全体を通して、外部参照、高度計、およびVSIをクロスチェックして、ピッチ姿勢が正しいかどうかを判断する
  • よくある間違い - 外部と機器のリファレンスをクロスチェックして正しく解釈できない
  • よくある間違い - 不正な機体姿勢とバンク角度の管理

エンジン出力 

  • 操縦全体を通して、対気速度計をクロスチェックする
  • 対気速度が5ノットを超えて減少した場合→パワーを追加
    • 揚力の増加により、抗力の増加により飛行機の速度が低下する可能性がある(通常は30度以上のバンクに適用)

まとめ

  • すべての旋回中、エルロン、ラダー、エレベーターを使用して、ピッチとバンクの小さな変動を修正する

ロールアウト

  • エルロンとラダーが高い方に位置する翼に向けて入力される
    • バンク角の約½分の機首方位だけ先んじてロールアウトを開始する
      • 30度のバンクがある場合 - 希望するヘディングの15度手前でロールアウトを開始する
  • バンクの角度が小さくなると、高度を維持するためにエレベーターの圧力をスムーズに解放する必要がある
    • 飛行機がバンクしなくなると、揚力の垂直成分が増加する
      • 必要に応じてトリムを減らす
  • 直線飛行中の対気速度を維持するために、エンジン出力を減らす必要がある
  • 翼が水平になると、制御圧力を徐々に/スムーズに解放する必要がある
    • 飛行機は直線水平飛行に戻る

トリム手順

  • 飛行機は通常重量と荷重時において、直線かつ水平に航行しているときに、主要な飛行制御(ラダー、エルロン、エレベーター)が機体の表面と凹凸無く整い合理化されるように設計されている
  • 機体がそのバランスのとれた状態から外れている場合、1つ以上の操縦翼面は、継続的な操縦入力によってその「外れている状態」を維持しなくてはならない
    • トリムタブはそういった入力維持から操縦士を開放する
  • 機体が適切にトリムされ、空気の流れがスムーズな直線水平飛行においては、制御圧力をほとんど加える必要がない
  • 貧乏向けのオートパイロット」と考えてみるとよいかもしれない

固定翼におけるトリム

  • ピッチ、パワー、トリム 
  • ピッチを設定
  • パワーを設定
  • 対気速度を安定させる
  • 現在の対気速度に合わせて飛行機を整える
    • 技術
    • 主要な飛行制御を使用して、飛行機を望ましい姿勢で確立して保持
      • 水平線を参照して適切な姿勢を確立し、次に飛行計器を参照して相違ないかを検証する必要がある
    • 次に、トリムを適用して、必要な圧力を軽減する
      • 飛行機の姿勢を最初に確立して保持する必要がある。次に、飛行機が「ハンドオフ」つまり手放し飛行で希望の姿勢を維持できるように、制御圧力を調整する
    • パワーを変更すると、水平飛行を維持するためのピッチ姿勢が変わり、航空機を再度トリミングする必要がでてくる
  • よくある間違い - 不完全なトリム手順
    • トリミングを頻繁に、少量で使用する
    • トリムだけで飛行機を飛ばそうとすることは、基本的な飛行技術の一般的な欠落である
      • 望ましい姿勢を確立してから、航空機をトリムする(姿勢を最初に確立し、次にトリム)
      • 望ましい姿勢を確立するためといって、最初にトリムをいじらないこと(最初にトリムし、次に姿勢を確立しようと探ってしまう)
    • 操縦士が感じる制御圧力は、飛行機の姿勢が計画的に変更されているときの意図的な制御入力の結果である必要がある
      • 機体によって自由に加えられた制御圧力による結果というわけではない

オーバーコントロール(過剰制御)

過剰制御の現れ

  • 圧力ではなく動きを制御すること
    • 操縦桿を急激に大きく動かしてしまう
    • ホワイトナックル(デスグリップ)
    • 全体的な緊張

予防

  • 過剰制御を指摘し、正しく軽い/指先のグリップと圧力を示す
  • よくある間違い - 圧力ではなく制御動作の適用

よくある間違い

  • 機体外部と機体内部計器類の参照をクロスチェックして正しく解釈できない
  • 圧力ではなく制御動作の適用
  • 飛行制御の調整されていない使用
  • 誤った姿勢とバンク統制

完成基準

訓練生は高度と対気速度を維持しながら、さまざまなバンク角度で機体を旋回させることができます。

成功のポイント

本レッスンの各項目をレビューすること

レベルターンでは、地平線に対してバンク角とピッチ姿勢を確立して維持します。機体の姿勢は、計器類とパフォーマンスを参照することによって確認されます。計器類が飛行機のパフォーマンス修正要と示している場合、水平線を基準にして指定された量の修正を適用する必要があります。その後、再度計器類を参考にして姿勢やパフォーマンスを再確認します。

レビュー

  1. 飛行制御の効果と使用について
  2. 統合された飛行教導方法について
  3. ピッチ、バンク、ヨー、パワー制御に使用される機体外部および機体内部計器類のリファレンス。 それらのクロスチェックと解釈; 使用される制御手順について
  4. トリム手順について
  5. 緊張や過剰制御を克服する際に用いることのできる方法について

参考資料

  • FAA-H-8083-3