レイジーエイト

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ACS/PTS・オペレーション分野 FAA 陸上単発ー飛行機
パフォーマンス・マニューバー
該当する資格 事業用操縦士, CFI

基礎知識

このレッスンでは、訓練生がACSに従ってレイジーエイトを実行するために必要な要素と操作方法について紹介します。レイジーエイトは180度旋回を2回逆方向に行い、各旋回間に対称的なパターンで上昇下降を行います。対気速度と高度の調整と操作をスムーズに行う技量をつけるよう設計されています。常に様々な入力や姿勢制御が必要なので、素晴らしい訓練です。

操作の関連性

  • 画像のように操作中に描かれる機体の軌跡とエネルギーの伝達は比較できる
    • 一方の軌跡に沿って上昇し、もう一方に降下する際のエネルギー伝達
      • エネルギーは上昇のために使用されている
  • 一定に保った出力設定
    • その後、「パイプ」状の軌跡に沿って降下する

Lazy Eights

レイジーエイトの操作

開始前

  • 高度を選択
    • 1,500’AGL以上であること
    • 高度計で読みやすい高度を選択すること
      • 500’単位
  • 操作前チェックリスト
  • 操作を行うエリアが他のトラフィックの妨げになっていないことを確認すること
    • 選択高度と、またはその上下高度
  • 機体は巡航出力の設定で直進かつ水平に飛行させる
    • VA速度で
  • 45度、90度、および135度で、旋回方向に視覚参照点を選択すること
  • よくある間違い – 参照点の選択が不十分
    • 識別しやすい参照点を選択すること
    • 自分の位置に近すぎる参照点を選択しないこと、点が地平線の方向にあるか、水平線上にあるかを確認すること

レイジーエイト操作の開始

  • マニューバは直進かつ水平飛行の状態で、45度点に向かって徐々に上昇旋回するところから始まる
    • きわめて丁寧な上昇と旋回操作で、45度点においてピッチ角15度(最大)に達すること
  • ピッチはバンクより速く増やす必要がある
    • ピッチが上がるにつれ、対気速度が減少し、旋回速度が増加する
  • バンク角度も増加しているので、旋回速度はさらに高くなっている
    • 操作をゆっくりとしたロールで開始しない限り、ピッチおよびバンクの増加によって旋回速度はきわめて速くなってしまい最大のピッチ姿勢前に45度点に到達してしまう
  • 対気速度を下げると、トルクも上がる
    • 均衡のとれた操作を維持するには右ラダーの当て舵が必要となる

45度点において

  • ピッチの最大角は15度でなければならない
  • バンクの最大角も15度
  • ピッチ角は、水平線と90度点に向かってゆっくりと減少させていく必要がある
    • 対気速度がまだ遅いので、トルクを打ち消すには右ラダーによる当て舵が必要
      • バンク角は最大の15度になるまで同じ速度で増加させ続けること

45度から90度にかけて

  • バンク角は、90度点で最大30度に達するまで増加させる必要がある
    • バンクは、最初の45度点における割合を保って増加を続ける
    • 最大バンク角は30度以下であること
  • ピッチ角は、90度点で水平飛行姿勢に戻るまで減少させ続ける
    • 初回の上昇旋回の増加と同じ割合で減少させること
    • 引き続き対気速度が遅いので、右ラダーをより強く当てる必要がある

90度点において

  • バンクは最大角約30度であること
  • 機体はとてもゆっくり旋回する
    • バンク角を維持するには、反対方向のエルロン操作が必要になる場合がある
      • これにより、誤ったコントロールをしてしまう可能性がある
        • 均衡のとれた操作である場合は、それでよい
  • 対気速度は最小であること(失速速度よりは5~10kts上)
    • 必要なラダーの入力量が最も高くなります
  • ピッチは水平飛行姿勢に戻す
    • 90度点と水平線を同時に通過するよう機体を持っていく
  • 機体は降下旋回に入っていく
    • ノーズは上昇旋回と同じ割合の軌跡を描けるよう、降下旋回を行うべきだ
  • 90度点を通過する際はバンク角を徐々に減少させ、引き続きノーズを機首下げの位置にさせる
    • 機体を導くような操作をすること、まちがってもダイブするような操作をしてはいけない

90度から135度にかけて

  • 135度点においてバンク角が15度に達するまで減少させ続ける
    • マニューバ開始時点における反対の操作を行う
  • 135度点においてピッチ角が最大の機首下げ姿勢に達するまで減少させる
    • 最大の機首下げピッチ角度は約5度~7度
  • この降下によって対気速度が増加する
    • ラダーやエルロンの入力量を徐々に緩める必要がある

135度点において

  • 機体のノーズは最も低いピッチ姿勢(5 - 7度)にする必要がある
  • バンク角は15度であること
  • 対気速度が増加するので、ラダーやエルロンの入力量を徐々に緩める必要がある

135度から180度にかけて

  • 翼を水平にするために、バンク角の減少を続ける
    • 残りの旋回距離を確認しつつ、180度点に達したとき、飛行姿勢は水平でかつ元の対気速度速度と同じ状態になるよう、ロールアウトとピッチの変化率を調整する
    • 対気速度は引き続き増加するので、ラダーとエルロンの入力量をさらに緩和する必要がある
  • 引き続きピッチを上げ、ノーズ位置をを地平線に戻す
  • 高度は、操作が開始された時と同じである必要がある

180度点において

  • 180度点の開始ポイントに戻った際は、同じ視覚参照点を使用して、ただちに反対方向へ上昇旋回を開始する必要がある
  • 2つ目の旋回は、できる限り1つ目を模倣する必要がある
  • よくある間違い – 主要ポイントでの飛行速度と高度の一貫性に欠ける
    • 操作の誤りに対しては必要に応じて、推奨されるピッチ、バンク、および出力設定を調整して使用すること

ラダーコントロール

  • 対気速度の減少により、左右両方の旋回ともにトップでの反作用トルクに対して右ラダーを徐々に加える
    • その際の操舵圧は最低対気速度の地点で最も高くなる
  • ヨーによる旋回速度の低下を防ぐために、より多くのトルク補正が必要であり、上昇右旋回時には右ラダーの入力がより多く必要となる
    • より大きなトルクとカウンターヨーに対しては、ラダーを増やす必要がある
    • 左旋回では、トルクが旋回を補助する(従って、ラダー入力がそこまで必要ではなくなる)
  • 右の上昇旋回では、オーバーバンキングを防ぐために左エルロンの入力が必要で、そのトルクを克服するために右ラダーが必要、そのため制御がクロスコントロール状態になる

*下記画像は本レッスン冒頭の画像と説明内容が同じ

Lazy Eights - English

まとめ

  • レイジーエイトを機械のように行うのはとても難しい、何故なら入力する操舵圧は完璧な調整がいつも同じになるという訳ではない
  • この操作には、常にコントロール圧を常に変化させ続ける必要がある
  • このマニューバ中に直線かつ水平に飛ぶ瞬間はない
  • さまざまな対気速度での上昇と下降の組み合わせがあるため入力による操舵圧は常に制御させる
  • よくある間違い – 均衡のとれていない操作入力
    • 上記のようにトルクを適切に補正する
  • よくある間違い – 方向の損失/参照点からの過剰な偏差
    • レイジーエイトの各要素に対して気を配り、プランニングを学ぶ必要がある
    • ピッチ、バンク、外の視覚参照点に集中すること
    • 各45度点における操作を事前にプランニングすること
  • 各45度点ごとに、その時点での操作を通しで話すこと
    • 高度目標
    • 対気速度
    • ピッチ
    • バンク
  • よくある間違い:プランニングが不十分なピッチとバンク姿勢の変化に起因する非対称な旋回ループ
    • ピッチとバンク姿勢の変化を適切にプランニングすること
    • 過度な機首上げの姿勢をしないこと
      • 失速する可能性があるため
    • 過度に機首下げの姿勢をしないこと
      • 進入速度を超える可能性があるため
  • バンク角の管理

よくある間違い

  • 地上参照点の選択が不十分
  • フライトコントロールの調整が不十分
  • プランニングが不十分なピッチとバンクの姿勢変化に起因する非対称的なループ
  • 操作中キーポイントにおける対気速度と高度の不一致
  • 方向の喪失
  • 地上参照点からの過度の偏差

完成基準

訓練生は、レイジーエイトを実行する際に必要な要素を理解し、教官の支援なしで本操作を自分で実行できます。

成功のポイント

本レッスンの各項目をレビューすること

操作の各部分の対気速度を一定または調整のため増減させて行い、かつその際のピッチとバンクの操作量は、旋回の各部で同程度に保つ必要があります。旋回の各部分は、反対側における旋回部分と鏡合わせのように対称なイメージを持つ必要があります。また、様々な姿勢や対気速度を通じて機体を調整し続けることも非常に重要です。

  1. レイジーエイトの目的と、基本的な高度な技能との関係について
  2. 進入高度の選択について
  3. 適切な地上参照点の選択について
  4. 進入の速度と出力設定について
  5. 入力操作手順について
  6. オリエンテーション、注意力の分散、プランニングについて
  7. 飛行制御の調整について
  8. この操作中において、主要なポイントでのピッチとバンク姿勢について
  9. 操作中の主要地点での一貫した対気速度と高度制御の重要性について
  10. 左右のターンでのトルク効果の適切な補正について
  11. ループの対称性について

Lazy

参考資料

  • FAA-H-8083-3