エンジン一基停止時の計器進入及び着陸

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ACS/PTS・オペレーション分野 FAA 陸上多発ー飛行機
緊急事態への対処と運航
該当する資格 自家用操縦士, 計器飛行証明, 事業用操縦士, MEI

基礎知識

このレッスンでは、エンジン一基による計器進入(アプローチ)に関連する要素を紹介します。動作不能エンジンで計器アプローチを行う方法…単発機と多発機との主な違いについて、多発機はエンジンに不具合が発生しても飛行を続けることができます。このため、双発機において計器飛行の特権を行使することが必要な場合、故障したエンジンで計器アプローチを安全に完遂できることを審査官に証明しなければなりません。

エンジン動力喪失の管理

  • エンジンの障害を認識し、制御を維持すること
    • エンジンが故障した場合は、方向制御を維持するためにラダーとエルロンを使用する
      • 動作中のエンジンに向かう1/2ボール状態(旋回釣合計のガラス管内の球による表示)を達成するために、約2~3度のバンク角度を加えロールとラダーのカウンターを当てつつ、ゼロサイドスリップの構成を確立する
        • これは計器によって厳密に行われる
  • 有視界状態でエンジンの障害と同じ手順を用いること
    • 出力全開
    • 抗力の減少
    • 識別
    • 検証
    • 修正またはフェザー(水平化)
  • 計器スキャンにより注意を払い/機体の飛行を続ける
    • 各ステップの間 – いったんとまり、ゼロサイドスリップ状態、針路、高度、エンジン計器類の指示を確認すること

アプローチブリーフィング

  • 通常のアプローチブリーフィングを行う
  • 対気速度と機体の構成は変わるかもしれないが、アプローチそれ自体は通常と同様である

精密進入

構成: 機体タイプ (例 PA-44)

ゼロサイドスリップ状態の維持

  • アプローチ中にエンジン出力を絞っていることから、ラダーの入力量も同様に減らしていく
  • グライドスロープとローカライザーを維持して飛行するためスキャンの頻度は増えていく

手順旋回 (内側 / 外側)、ローカライザーとの交差

  • 対気速度:
  • エンジン出力:

グライドスロープより1/2ドット上部

  • 対気速度:
  • エンジン出力:
  • フラップ:

グライドスロープ交差(FAF)

  • 対気速度 - 単発進入(Vyseよりも低速にならないように)
  • エンジン出力:
  • ピッチ:

チェックリスト項目

  • 着陸前チェックリスト
  • いかなるFix点に到達した際 (6 T’s:以下参照)
    • Turn(旋回)
    • Time(時間計測)
    • Twist(プラカードノブ回す)
    • Throttle(スロットル調整)
    • Talk(ATCなどに話す)
    • Track(追跡する)

非精密進入 

構成: 機体タイプ (例 PA-44)

ゼロサイドスリップ状態の維持 

  • アプローチ中にエンジン出力を絞っていることから、ラダーの入力量も同様に減らしていく
  • ステップダウンを監視しつつ維持して飛行するためスキャンの頻度は増えていく

手順旋回 (内側 / 外側)、ローカライザーとの交差 

  • 対気速度:
  • エンジン出力:

FAFから1NM地点 

  • 対気速度:
  • エンジン出力:
  • 必要に応じてフラップ:

ファイナルアプローチ点(FAF) 

  • 対気速度 - 単発進入(Vyseよりも低速にならないように)
  • エンジン出力:
  • ピッチ:約6度ほど機首下げ
  • MDAの地点を通り過ぎる前に、その高度に届くようにするため精密進入よりも少し速く下降する
  • 滑走路を見つけ出す時間をいくらか持ち、見つけ次第下降を続行する

MDA/ステップダウン 

  • MDA高度以下に下降してしまう前に水平移行/ステップダウン高度
  • 間違ってもVyse未満の速度に減速しないこと
    • エンジン出力の増加はラダー入力量の増加につながる、ゼロサイドスリップ状態を維持すること

チェックリスト項目 

  • 着陸前チェックリスト
  • いかなるFix点に到達した際 (6 T’s:以下参照)
    • Turn(旋回)
    • Time(時間計測)
    • Twist(プラカードノブ回す)
    • Throttle(スロットル調整)
    • Talk(ATCなどに話す)
    • Track(追跡する)

高度、対気速度&経路の維持

  • 確立、トリム、クロスチェック、調整
    • アプローチに焦点を合わせながら、常にゼロサイドスリップ状態を保つ
  • スキャンを継続し、視界内のすべての情報をおさめる
    • スキャンにアプローチ・チャートを含めるのを忘れないこと
  • 次に何をすれば良いのか?」といつも自問自答する
    • 高度、対気速度、経路の追跡の処理を先んじていること
    • あらゆる点で6T(上記参照)を使用すること
      • ターン,タイム,ツイスト,スロットル,トーク,トラック
  • ローカライザーの針を中央に保つこと
    • 積極的に!
    • 風向きに対するコントロールの調整
      • 機首方位計の指針バグ(利用可能な場合)を使用して、目的のコースを維持する
      • 指針バグの右または左に微調整して、コースのずれを修正する
        • 小さな修正を行うこと
  • グライドスロープが中心になるときは、約5度ピッチダウンし、中央のグライドスロープ表示を維持すること
    • グライドスロープの維持に積極的に取り組むこと
      • ボールが上下に動き始めたら、すぐに小さな調整を行い、動きを止めること
        • 対地速度が上がるにつれ、降下率も上がる
        • 対地速度が下がるに伴い、降下率も下がる

正しい降下率

  • アプローチの最終段階では、1,000 FPMを超える降下率は受け入れられない
    • 特に単一エンジンの場合は、制御かつ安定したアプローチを維持すること
  • タッチダウン・ゾーンでの着地を可能にする「適切な位置/距離」でDAに到達するように、降下率を使用する必要がある
    • グライドスロープを使用すると、適切な降下速度を維持できる

着陸

  • 前述のとおりに、有視界における着陸操作を実行すること

よくある間違い

  • 選択した計器アプローチチャートに表示される情報に関して、重要な知識を持たないこと
  • 適切な通信手順を使用できない
  • ATCのクリアランスに対する不遵守
  • ナビゲーション装置の誤った使用
  • 動作しないエンジンの特定と検証、および緊急時のチェックリストに従わない
  • エンジン制御の調整と抗力減少の不適切な手順
  • 動作不能エンジンを抱えた機体に対するベストな対気速度の確立及び維持における不適切な手順
  • 最高のパフォーマンスを得るための適切な飛行姿勢を確立し、維持できない
  • 機体を積極的に制御および維持できないこと
  • 基本的な計器飛行技術の欠陥
  • MDAまたはDH以下への不適切な降下

完成基準

操縦士は、動作不良のエンジンを抱えてなおかつ計器のみを用いて、計器進入と着陸を行うことができます。

成功のポイント

本レッスン内の各項目をレビューすること。

すべての流れにおいて飛行機を飛ばすのが最初!そして制御を維持すること!(スキャンを継続)  チェックリストを焦って終わらせる必要は一切ない。

  1. 飛行や進入の各フェーズに適した高度、飛行速度、軌道を維持すること
  2. ATCクリアランスまたは命令に準拠できない場合の手順について
  3. 航空機のアプローチカテゴリに関する、公表されたMDA及び可視程基準に対する必要な調整について
  4. 最終アプローチ中に適切な降下率を確立し、維持すること

参考資料

  • FAA-H-8083-3
  • POH/AFM
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